愛するものについて、うまく語れない。
ロラン・バルト
少年サンデーコミックス5684;小学館;¥390(借覧);新書判;;並製;190頁;△;
この日、私が学生チューターをつとめる留学生のT君が来日(19時半)。広島空港に出迎へにゆき、終電をのがしてしまふ。N氏のところに泊めてもらうて読んだ一冊。
私はニックの「ラブひな」――「何でいまさらこんなものがうけるのか」と、あさりよしとおは云ふけれど――パタン(p.189.)がすきつス。
ちくま新書263;筑摩書房;¥660(1割引);新書判;縦組;並製;248頁;△;
「ゆるやかな肯定」といふのはかういふことだらうか(あんま“ゆるやか”ぢやないか)。あと、『コンビニエンス・ストア・システムの革新性』(日本経済新聞社、1994)をかいたのは、「矢作敏彦」(本文)なのか「矢作敏行」(参考文献)なのか、どつちだ。
BIG SPIRITS COMICS SPECIAL 3896;小学館;¥876;A5判;;上製;211頁;△+;
かういふものはむかしだつたら小説になつたんだよなぁ(いまでもさういふものはあるかもしれないけれど←よむ気もしないけれど)。(援交)少女が(諦観やさげすみではなく)あたし… おばさんになるのね。
(p.164.)といふ場面がすばらしい。さういふのをきいて(夫と息子とを少女にうばはれた)をばさんが、うわーーん。 うわあああーーー
(p.166.)と、こどものやうにしか泣けないのも現在の“型の喪失”をみごとにゑがきだしてゐる。しかし、こんな風に(安易に)よめてしまふのはこのマンガにとつて幸福なことなのだらうか。
『諸君』誌10月号(文藝春秋)の小谷野敦の支那称呼問題についての論文をたちよみ。あひかはらず整理は明快、論旨は真正直だなぁ。ところでこの文で一番重要なのは、内村鑑三『余は如何にして基督信徒となりし乎』にふれて括弧のなかでさつというてゐる、支那人への蔑視が米国から輸入されたものだ、といふ指摘ぢやあないかしら(しかし小谷野氏は、買売春論の見取りをやつたあと、二度と『諸君』でかくことはない、つていうてなかつたか?)。
ちくま学芸文庫;筑摩書房;¥854(半額?);文庫判;縦組;並製;225頁;△;
粋判官。ところで、この本には直かににかかはりはないけれど、“浅田の壺問題”は、必読。
;明治書院;¥7,800(借覧);A5判;縦組;上製;449頁;△:
雑とおほまかにながめただけであつて、こんなことをいふのは傲岸不遜なのは重重承知のうへで、許し難く凡庸な優等生
[浅田 1985→1992:73]というてみたい誘惑にかられる一冊。
UP選書221;東京大学出版会;¥1,200(借覧);B6判;縦組;並製;252頁;△+;
生物学的な「見えざる手」か否かは知らず、木村[敏――引用者注]もすでに指摘したごとく、ante festum(事前・先取り)的な構えは恋愛において優位を占める。杳かな兆候への予感能力を欠いてはそもそも恋愛は成り立ちにくいであろう。これをくだくだしく解説する必要はなかろう。もとより不安や願望思考も介入してくるので、ここでもt=0において完全に未来の傾向を知ろうとすることは、相手の初動(一憫一笑!)にふりまわされる結果となるであろうけれども――。[中略]かつてのジュリアン・ハクスレーの設問――なぜ分裂病者はかくも多いか、彼の含意では、なぜS親和者[分裂病親和者――引用者注]は淘汰されてしまわないかは、その従来の答えである「困苦欠乏」への耐性よりもむしろ性的パートナーの獲得における有利性にあり、それが子孫を残す可能性を高くしているという答えのほうを私は選びたい。(pp.35-6.、注は省いた)
それでもなほ、ぼくたちは、恋していく
のか。
鳥取県西部地震。表を歩いてゐた私は毫も感じなかつた。文学部の玄関で女の子たちが、ここ(大学)だとこんなときにはどこへいつたらいいんかね、といふやうなことをいうてゐるのを耳にし、事務のひとたちがたちさわぎ、授業中のK先生が教室からでてゆくのにあひ、掲示板のところにたむろする学生のはなしをきいて、やうやく何があつたのかを知つたのだつた。ある意味、をしいことをした。
;名古屋大学出版会;(借覧);A5判;横組;並製;345頁;△;
『知の技法』系? しかも大学教科書としての「使用の手引き」もついた商売上手(?)な1冊(勿論をそはるところもいろいろあつたけれど)。さてここでは、おなじ名大出版会からでた編者の『絵画の東方』のだめなところについてのべておきたい。それは葛飾北斎の「斎」字が(1例ただしく「齋」になつてゐるのをのぞいて)すべて、北「齎」といふあやまつた回帰形になつてゐることで、これは単なるミスといふよりも、呉智英が「すべからく」誤用についてのべたがごとき、心根のいやしさの露呈したものとわたくしにはうつつた。
10時30分から、研究発表会。Heart-inで『カレカノ』の10巻を買うて、大学へむかふ。午前中は国語学のかたが3人御発表。ひるやすみにはひつて、N氏につきあうてもらうて、近くの本屋へ『天然素材』の7巻をかひにゆく(あー、つくづく白泉男子
――『ホットミルク』誌11月号(コアマガジン)「森見明日ロングインタビュー」(「コミックジャンキーズ」)における伊藤剛の発言(p.279.)より――だなあ、オレ。ついでに『ホラーマンガの逆襲』も購入)。「すきや」で昼食。午後は、中古・近世が1人づつ、近代文学が2人。面目ないが、ほとんどまどろんでゐた。やでやで。帰途、観音のフタバ図書によつて、『論座』誌(朝日新聞社)をたちよみ、『ホットミルク』誌を買うてかへる。
花とゆめCOMICS;白泉社;¥390;新書判;;並製;207頁;△+;
やつぱりたちよみだと、おはなしの輪郭しかおへてないなぁ、と思ふ。本巻は、真秀さんと貴志さんのなれそめばなしと修学旅行篇と、ものがたりのはじめるまへの高校入試の一日をかいたはなしとを収録。キャラたちまくりでおもしろいなー。うへにかいたやうに、朝あわてて買うたのでよく見ずに、ジャケットがうらがはのうへのかどのところがガジガジと缺けてるのを買うてしまうてて、(私は保存状況にフェティッシュなこだはりはもつてゐないけれど)すこし残念。
花とゆめCOMICS;白泉社;¥390;新書判;;並製;189頁;△+;
「神様のアルコネ」の最終ページのQ.それぞれ誰のセリフでしょう
(p.44.)といふのは、私は、右から理々子・美晴・二美とおもうたンすけど、どうでせう(お気軽に掲示板へどうぞ)。あと、「劇場」のはうの(これも)最終ページ(p.189.)、何かすッごく亢奮しました。
岩波セミナーブックス77;岩波書店;¥2,100(借覧);B6判;縦組;並製;229頁;△;
イヤミが自分のことを(格変化なしに)「ミー」といふのは、戦後日本のクレオールだつた(!) あと、(もう返却してしまうたんでページをたしかめられないのだけれど)二葉亭四迷が『浮雲』を最初ロシア語でかいてから日本語に飜訳したといふはなしがのつてゐて、このはなしを私がはじめてしつたのは(もうひとにあげてしまうたんでたしかめられないのだけれど)柄谷行人『日本近代文学の起源』(講談社文芸文庫)で、多分典拠もしめさずにいはれてゐたと思ふのだけれど、これを川端香男里は『新潮』誌10月号の「文芸時評」で、小熊英二・村上龍対談にふれて、さういふことは創作の形態としてありえない、と否定してゐたのだけれど、はたして真相(あるいは現在の四迷研究の現状)はどうなのか、御存じのかたゐたらおをしへください。
知恵の森文庫;光文社;¥648;文庫判;;並製;408頁;△;
やー、ぶつとんでるなぁ。そして、いまわたくしの享受してゐるものが、あすジャンクになつてゐない保証はないといふ戦慄。
思考のフロンティア;岩波書店;(借覧);B6判;横組;並製;123頁;△;
(なーんか気にくはないンすけどね。かというて、愚著・悪書ともきめつけられず。)
県立図書館にゆく。あまもよひなので、自転車はやめてバスで移動。論文を2本コピー(30枚で600円、たけえなあ)。宇品線にのつて紙屋町のはうにでて、『ヤングユー』誌で「スウィートデリバリー」をたちよみ、『フリクリ オリジナルサウンドトラック(1) アディクト』(スターチャイルド)を購入、aiko『ボーイフレンド』(ポニーキャニオン)・bird『オアシス』(SMEJ)・矢井田瞳『my sweet darlin'』(東芝EMI)・Cocco『星に願いを』(ビクターエンタテインメント)をレンタルして帰宅(←あー、わかりやすい)。
;新曜社;(借覧);A5判;縦組;上製;289頁;△;
;青土社;¥3,400(借覧);B6判;縦組;上製;395頁;;
もう何云うてるんかさつぱりわからんものを、一日中ごろごろねそべつてゆめうつつの間に見てただなんて莫迦みたい。無駄な人数。
『電撃王』誌11月号(メディアワークス)、『アニメージュ』誌11月号(徳間書店)、宮崎編[2000]をかふ。ちかごろはゲームもしないしアニメもほとんどみないのに雑誌だけ買うてゐる。『電撃王』誌では、びいず羽岡の「ゲームの奴隷」がおもしろい。今号ではドラクエの徹底批判を(ほかのページで)してらつしやるので、圧力の類がかからぬことをいのりたい。『アニメージュ』誌のはうは、今号附録に「劇場版カウボーイビバップ」のポスターがついてるんだけれど、一体公開はいつになるのやら。大学からの帰途、先日レンタルしたマキシシングルを返却に街のはうによる。『ボーイフレンド』のケースを破損してしまうたのだけれど(別に気にいらないとか、きらひとかいふわけではない。テトラポッドが商標だと気づかせてくれたのは彼女だし、歌をきいてゐるとむしろ、擬制とはわかつてゐてもこの甘たるい感情が真実のものである「かのやうに」に身をまかせてしまうてもいいかなぁ、といふ気分になるくらゐである。←つかれてるなぁ。)、特にとがめだてはなかつた。よかつた。フタバ図書によると、新潮OH!文庫が創刊せられてゐた。(生協にはひつたら買はう)と思うて、とりあへず、冊子だけとつてゆく。『ダ・ヴィンチ』誌の「コミック・ダヴィンチ」と明治文学座談会と、『フィール・ヤング』誌(祥伝社)の「ハッピーマニア」と小池田マヤのよみきりとをたちよみしてかへる。
新書y016;洋泉社;¥680(1割引);新書判;縦組;並製;206頁;△;
わたしにとつては、ことさらにめあたらしい論点はなし。これまで彼等の著作にしたしんでゐないひとにどれだけアピールするかが問題だと思ふけれど、どうだらうか。
;三弥井書店;(借覧);A5判;横組;上製;317頁;△;
演習にそなへて泥縄式に雑とよむ。しかし、前期半年授業をうけたわけだけれど、どうも文末(助)詞つてわけわかつてないンすよね。気づいた誤植は、つぎのとほり。
4例中2例が漱石の引用文。かはいさうな夏目漱石。
丸善で『リトルモア』誌をたちよみ。福田和也「作家の値うちヴァリアント」、保坂和志との対談および笙野頼子の反論文、竹熊健太郎・東浩紀対談など。東氏は浅田/柄谷から離反したあと急速にラカニアン(つーかジジェキシャン、てそんなことばがあるのかどうか知らんけれど。多分ない)に本卦がへりしてゐる感じ。しかし、柄谷氏のくちまねをしていふならば、現場からはなれた精神分析はクヅである。なーんて。
;講談社;¥1,600(借覧);B6判;縦組;上製;179頁;△-;
柄谷先生が銓衡委員からさつて最初の群像新人文学賞受賞作。資本主義の生み出した飽和状態を泳いでいるだけの若者に何が壊せるというのか、生む苦しみも知らないくせに壊す快楽だけ知ってどうしようというのか
(p.159.) 御自分でわかつてるんなら御精進くださいまし。ポスト・モダン文学の剥製みたいなもんでチャーミングさにかけてゐる。
マドンナメイト;マドンナ社(発行)・二見書房(発売);¥437([2000/9/20]拾得);文庫判;縦組;並製;247頁;×;
おぞましい(つて、ならよむなよ。しかし真剣に対峙せねばならぬおぞましさではなくてチープないやさ)。
『広告批評』誌10月号(マドラ出版)を購入。図書館に『文藝』冬季号(河出書房新社)がはひつてゐたので(常盤響の写真集が年内に河出からでんだ、絶対買はう)とか思ひながらぱらぱらながめる(とてもよむ気にはなれぬ)。古屋兎丸の対談と丹生谷貴志の文芸時評(これは今回でおしまひなのかしら。そして、大澤真幸のなまへが御丁寧に2度も大澤真知になつてたのは、私のしらぬ間に改名なしつたのかしらん。)とは一往目をとほす。新人賞の選評のとこは組がひどいつスね。
大学からの帰途、近所(といふにはすこしはなれてゐるが)にきのふ開店した「古本市場」といふ新古本屋によつてみる。私はこの手の店(ブックオフとか)には100円文庫のたなに『東光金襴帖』(中公文庫)がそつとまじつてゐるぐらゐの意外性をもとめてゐるのだけれど、まるでうらぎられた。といふか、全体として品薄すぎ。ブギーポップ・シリーズでも買うてかへらうかと思うたけれど、やめて山川方夫の文庫を数冊もとめて帰宅。夕食のフライをあげる。何といふか、ヴァイオ・リズムが最低水位にある感じ。(日記のかきかたもひどいな。)(……さうさう、固有名をならべるのをひかへろよ)。
ちくま文庫;筑摩書房;¥460(¥100);文庫判;縦組;並製;305頁;△;
思へば東浩紀は、原理論学術書→ヴァラエティ・ブック→対談集、といふ浅田彰のパタンを丁寧に〈反復〉してるなぁ(←だからかういふことを書くのはよせつて云うてるぢやないか)。
セカンド・インパクトから丁度ひとつきたつたこの日、I先輩から(一部のひとにとつては、)おもしろい話をきいたのだつた。それは、『三巻本色葉字類抄』の影印が、数年まへの勉誠社のものと現在刊行中の尊経閣善本影印集成のでは微細なちがひがあつて、そのちがひといふのは、時間の経過による劣化なのだといふことで、さういふことをしらべてたしかめてゐる人がゐるといふことにただ頭がさがる思ひがする。さういへば、『国文学 解釈と教材の研究』誌(学燈社)の「学会時評(近代)」で安藤宏は、山田俊治/十重田裕一/笹原宏之『山田美妙『竪琴草紙』本文の研究』(笠間書院)にふれて、結局飜刻とは解釈作業なのである、といふことを強調してゐたけれど――ところで、この本、手にとつてみたかぎりでは、新字体のやうだつた。むろん見識あつての所為だらうけれど、美妙斎はこんなけつたいな活字におこされるとは思つてもみなかつたらうな。――、それは素樸にすぎるものいひぢやないか。むしろ田川建三(『書物としての新約聖書』勁草書房)の、国文学者は莫迦のひとつおぼえのやうに底本といふけれどまともな学者だつたら自分のかんがへによつて理想的な本文をととのへてゐるものである、といふ指摘にわたしたちはもつと耳をかたむけるべきだらう。
文春文庫;文藝春秋;¥380(¥100);文庫判;縦組;並製;318頁;△;
ゆふがた近所の明林堂書店にたちよみにゆく。駐車場がごつたがへしてゐた。これまでなら何をよんだかこまごまかきとめてゐたけれど、はぶくことにします。ただし、斎藤美奈子の「誤読日記」(『週刊朝日』誌)についてすこし。今回は丸谷才一『闊歩する漱石』(私は未読)で、正かなでかかれてゐたのだけれど(勿論揶揄)、「どう」(何う)は、「だう」とはかかぬのですよ。御勉強くださいまし。
;岩波書店;¥2,800(借覧);B6判;縦組・ただし付録[pp.281-338.]は縦2段組;上製;338頁;○;
本書のおもしろさはいまさら私が喋喋するまでもないだらうけれど、まつたく明快かつ痛快。訳文も非常によみやすい、といふか(これまでこの日記で「洋モノ」とよんできた書物とちがうて)日本語としてすらすらと理解できる。原文の性質にもよるのだらうけれど、表紙には名前をのせてゐない謙虚な訳者たちのちからもおほきい筈だ。本当にありがたうと云ひたい。わからぬものはすなほに、わからぬ、といふのが一番だとあらためてまなびました。しかし、本書に解説せられる科学がさつぱりわからぬわたくしが、さう簡単に尻馬にのつてはいけないのだらうけれど。
;新潮社;¥1,400(借覧);B6判;縦組;;199頁;△;
フランス装がうつくしい(新潮社装幀室によるもの)。所収の文章の大半を初出でよんでるのは、いまとなつてはちよつとやな感じ。だつてホントはどうでもいいんでせう、ね。
;筑摩書房;¥1,800(借覧);B6判;縦組;上製;211頁;△+;
こつた装丁(書容設計)でなかなかカツコいい(Toilet Bowl Cleaners featuring成澤望によるもの)。ただし、脚注がとびとびに数頁にわたつてゐるのはいただけない。
図書館に文芸誌をチェックしにゆく。高橋源一郎「日本文学盛衰史」(『群像』誌、講談社)が連載終了。本作では、病床の国木田独歩に二葉亭四迷が「さあ、いかう。アソンジ・アロンゾ!」といふ場面[*1]が非常に印象的だつた(というてもうろおぼえなので、いろいろまちがうてゐるかもしれません)。そして何より「蒲団1999・女子大生生本番」(!)[*2] 一刻もはやく単行本にまとめてほしいです(しかし、「ゴジラ」(『波』誌、新潮社)も出すいうて出ないままだしなぁ)。丸善で、東[2000]を購入。新刊なのに棚に1冊おいてあるだけでした(ちなみにそのとなりの金正堂にはなかつた)。見返しをみて、いまさらこれや(エヴァ風タイポグラフィ)ないだろ、と思うたけれど、さういへば自分だつてこのペイジに麗麗しく極太明朝をかかげてゐた時があつたのだつた。
[*1]
二葉亭はつかつかと窓に近づくと、外へ向かって一杯に開いた。潮の香りとともに、眩しい初夏の日差しが部屋の中に一斉に入りこんだ。
「國木田君! いつまでも寝ていてもらちなんかあきやしないよ。さあ、ちょっと外へ散歩にでも行こうじゃないか! さあ、アロンジ、アロンゾ!」
獨步はふらつく足で床の上に立った。「歩く人」獨步の最後の散歩の時間がはじまろうとしていた。
『日本文学盛衰史』連載第10回「平凡」(『群像』誌1998.2)p.214.より
→単行本p.147.では、「獨步」が新字体「独歩」に、「さあ、アロンジ、アロンゾ!」が「さあ、出発だ!」に変更。
[*2]『蒲団'98・女子大生の生本番』(1)〜(4)のまちがひ。連載12回から15回(『群像』誌1998.4-7)。確かめるために大学の中央図書館の『群像』をみてみると、こことつづきの「我々はどこから来たのか、そしてどこへ行くのか」(1)〜(4)(連載16回から19回、『群像』誌1998.8-11)のところとだけ、最初のページに折り目がついてました。読者は、ゐる。
MANGA TIME COMICS;芳文社;各¥571(各¥200);A5判;;並製;各128頁;△+;
「なさけな系の男」全開。
モーニングKCDX845;講談社;¥1,143(¥450);A5判;;並製;407頁;○;
わたくしは非SF者なので――どのくらゐかといふと、『オネアミスの翼』を大したことない、と思うたほどである――、多分、本書を充分に享楽(ジュイサンス?)できてはをるまいが、しかし、たしかにこの胸に感動をおぼえたのである。すばらしい。(どの作も女の子がかはいくて←それかい。)
;朝日新聞社;¥1,800;A5判;縦組;並製;266頁;△-;
よくしやべる頭のいい莫迦がゐる、といふ感じ(山形浩生との対話を見よ)。あと、語りおろしだといふ阿部和重との対話(すつごく妙な口調)にでてくる蓮實重彦の「彦」字の正字体(〓{文+厂+彡})は、「文」のところの4画目に筆おさへがついてゐる[*]のだけれど、私はこんなデザインははじめてお目にかかりました(唾棄すべき稚拙な媚態!)。
[*]『小説トリッパー』2000年冬季号をたちよみしてゐると、やはりこの「彦」字に出くはした。朝日新聞はあくまでこれでいくんだなぁ。しかも、「蓮」字の「連」をわざわざ2点之繞に作字する念の入れぶりは、一体何なのか。[2000/12/19]
◆『ユリイカ』2月号(青土社)の東浩紀「過視的なものたち」第1回を見てゐたら、そこにも、この妙な「彦」字が。印刷所とは無関係なのか? …キモチワルイ。
[2001/2/3]
『メロディ』誌11月号(白泉社)を購入。
りぼんマスコットコミックス♦1232;集英社;¥390;新書判;;並製;174頁;△;
ひさびさの(前期系)抒情小曲集。堪能しました。
清文堂からDMがくる(どうでもよいけれど、郵便番号が7桁になつてゐない)。今野真二先生の御本がでるのか(『仮名表記論攷』、2000/11/10刊行、¥15,500)。和泉書院から目録がとどく。池上洵一著作集(全2巻)がでるのか。いやはや、金のいることばかりだ(買ふときまつたわけぢやないけど。ところで、池上先生の著作集のあとに、谷沢永一の日本近代文学研叢(全5巻)とM先生の著作集(全3巻)とがならんでゐるのは異観だなぁ(p.10.)。谷沢氏は透谷罵倒をわざわざかきおろしで――しかも、男が処女をありがたがるのは要はくらべられるのがいやなのだ自信がないのだ、といふやうなことまでかいて――研叢のなかにいれてるんだから。)きのふ本屋で11月のコミックス新刊案内をとつてきたので、購入豫定のものをかきだしておく(文庫は書店でチェックしただけなので、こまかいデータはまた補足します)。
◆文庫の発売日と値段とを追加。[2000/10/21]
発売日 | 書名 | 著者名 | 文庫・コミックス名 | 本体豫価 |
---|---|---|---|---|
1 | タカハシくん優柔不断(1) | 新井理恵 | カドカワドラゴンコミックス | 900 |
4 | パタリロ西遊記!(1) | 魔夜峰夫 | 花とゆめコミックス | 390 |
7 | バツイチトランタン(2) | 小池田マヤ | バンブーコミックス | 590 |
7 | 風俗嬢菜摘ひかるの性的冒険 | 菜摘ひかる | 光文社知恵の森文庫 | 未定 |
8 | 平安朝文章史 | 渡辺実 | ちくま学芸文庫 | 1,300 |
13 | …すぎなレボリューション(4) | 小池田マヤ | ワイドKC | 571 |
15 | ゴーストバスターズ 冒険小説 | 高橋源一郎 | 講談社文庫 | 629 |
上旬 | ハッピーマニア(10) | 安野モヨコ | フィールコミックス | 857 |
17 | 真夜中猫王子(1) | 桑田乃梨子 | 花とゆめコミックス | 390 |
18 | じゃじゃ馬グルーミン★Up!(26) | ゆうきまさみ | 少年サンデーコミックス | 390 |
22 | あかピンク(1) | 入江紀子 | MIU COMICS | 400 |
28 | おさなづま(6) | 森高夕次作・あきやまひでき | アクションコミックス | 552 |
30 | 最終兵器彼女(3) | 高橋しん | ビッグコミックス(スピリッツ) | 505 |
中公文庫;中央公論社;¥583(¥100);文庫判;縦組;並製;263頁;△;
このところの廁上の書(これのまへは戸板[1984=1987])。まあ、このぐらゐの人情ばなしをもとめてゐるひとといふのはゐるんだらうな、といふ感じ。
『週刊少年ジャンプ』誌45号(集英社)をよむ(ひとが買うたのをゆづつてもらつてるので、多少おくれてよんでゐるのである)。おもしろいのだけれど、何といふか、どれもスマートでいまひとつメジャーなボリューム感といふものを缺いてゐる気がする。ところで、うすた京介『ピューと吹く!ジャガー』は単行本化のときはどうするんだらうか(ちやんと2色でだすのかなぁ)。
深更、「タモリ倶楽部」をみる。この日は、プラモマニアのいへに取材したもので、いへぢうにうづたかくつまれたプラモデルのはこをみて、私はまだまだ大丈夫(ティッシュのあきばこにつめた文庫やマンガなんてかはいいもんだ)と安心した。
といふことを、翌日、大学でK嬢にはなしたら、安心するところちやふ、とたおやかなつつこみがはひつてうれしく思うたことでした。
講談社コミックスキス第307巻;講談社;¥390;新書判;;並製;179頁;△;
感想だけかきつけてもあれだらうから、すこし内容(ストーリィ)紹介でもしようかと思うたのだけれど、やつぱり面倒なので(めんどくさがつてちや上達しないのはわかつちやゐるけど)、ジャケット裏の惹句をひいて代へることにしよう。幸せな恋人達・リコと大住に忍び寄るリタの“サバンナの女豹作戦”とは!?
で、リコとリタとが(いきわかれの)ふたごで性格が真反対といふ設定である。魯鈍な世間人である私は、リタの、あんたの「ふつう」を押しつけないで
(p.115.)といふこゑなどを見て反省しつつよみすすめてゐたのだけれど、巻末かきおろしの「ネガポジのゆくえ。」を見ると、リタのことを(わかりやすい)「困った人」とかいてゐた。さうなのか。まあ、――結構な恋愛レディ・コミである本作に「ツッコミを入れつつ描いている」といふやうな――常識人だから入江紀子は信頼できるんだよな。しつかし、このふたご24だといふから、私とおないどしである。まるつきりちがふ生活をしてるよなぁ。
;明治書院;¥2,381(1割引);A5判(縦2段組・269頁;△+;
中公新書865;中央公論社;¥640(借覧);新書判;縦組;並製;315頁;△;
論集日本語研究14;有精堂出版;¥3,500(借覧);A5判;縦2段組;上製;318頁;△+;
以上の2書は、演習にそなへてのにはか勉強。
ひさしぶりに「おジャ魔女どれみ#」(の後半)を見る。いやー、かはつてないなぁ(グッズはふえてたけど)。ゆふがた、「カードキャプターさくら」の地上波再放送を見る。お正月。「あずきちゃん」のときは、非常に念いりに時節をあはせてゐたものだつたが(まぁあれは1話完結だつたこともあるけれど)。
花とゆめCOMICS;白泉社;¥390;新書判;;並製;198頁;△;
入手するのに都合3軒本屋をはしごしました。入荷部数がすくないんだな、きつと。不幸な過去をもつ、マゾヒスト・安部みつるとナルシスト・甘草夏彦(私は彼のがうけました)とが今度こそまともで穏やかな学園生活を何がなんでも死守したい
(p.9.)とどたばたするラヴ・コメディ。最近はやりの(津田雅美的?)トラウマ物語にさかねぢをくらはせた、なかなかの作物。あと、短篇「鳥籠少女」は、女の子がくちびるのまはりにチョコレイトをぬつて食べなきゃ損だよ
といふのがエッチいなぁ、と思うてたら、やつちまひやんの。教室で。うわーん、大人つてきたないなあ(←だれだよ、おまへ。つふか、このギャグなんだつたつけ←「ハッピーマニア」)。
『サイゾー』誌11月号(インフォバーン)を購入。
文春新書128;文藝春秋;¥690(1割引);新書判;縦組;並製;235頁;△+;
マガジンZKC0034;講談社;¥524;B6判;;並製;172頁;△;
あのアフ・レコ取材記ははひつてないンすね。残念。
ちくま文庫;筑摩書房;¥660(¥150);文庫判;;並製;148頁;△;
アフタヌーンKC-1118;講談社;¥438;B6判;;並製;158頁;△;
これと「フリクリ(1)」を買うたのは、中央書店コミコミスタジオでだつたのだけれど、そのはひつてゐるサンモールのエスカレーターの根もとの辺で何やら見なれないローラーがくるくるとまはつてゐるのでよくよく見てみると、手すりに抗菌コートをかけてゐるのだつた。何だかなぁ。
大学からのかへりに広島駅の廣文館による(下にかいたやうなものを買ひ、『クッキー』『週刊少年サンデー』の2誌をたちよみ)と、哲学書のたなのところに、東浩紀『不過視なものの世界』のまへにたつて表紙をめくつたりしてる女の子(女子高生?)がゐた。買うたかなぁ。
;幻冬舎;¥1,400;B6判;縦組;並製;300頁;△;
「臨床思想士」のすすめ。んー、でも、50枚ぐらゐでかけるんぢやないですか、いままでにも言うてきたやうなことだし。未知のひとにとどけたい気もあるんだらうけど……。
DengekiComicsEX;メディアワークス(発行)・角川書店(発売);¥680;A5判;;並製;161頁;△++;
すつごくおもしろかつた。でも、1巻をよんだときのやうな訣のわからないおもしろさぢやない感じ。
マーガレットコミックス3293♦;集英社;¥390;新書判;;並製;172頁;△;
今回は、人間関係のドロドロつぽいのがなくてよみよかつたです。さしあたつてそんだけ。
別コミフラワーコミックス7664;小学館;¥390;新書判;;並製;185頁;△;
いやー、何かハチャメチャつスねえ。つかれてるときにはあんまりよみたくないけれど(激ラヴものだし)、好きですよ、かういふの。
;笠間書院;¥1,500(2割引);B6判;横組;並製;116頁;△;
ネガティヴな(つふか、ひろくよまれるだらう本書を最低の鞍部でのりこえた?)読後感を2つほど。
已上。
ぶ〜けコミックス90・92;集英社;各¥379(各¥200);新書判;;並製;227・230頁;△;
完璧な出来のおはなしといふ感じである。ところで、本作の舞臺は'20年代のニュー・ヨークなんだけれど、たとへば遠藤淑子の作とちがつて、このマンガがそんなにアメリカくさく思はれないのはどういふことだらうか。
新潮文庫;新潮社;¥320(¥100);文庫判;縦組;並製;290頁;△;
中公文庫;中央公論新社;¥1,048(¥510);文庫判;縦組;並製;476頁;△;
本書にことよせて、本サイトの表記法についてのべておくことにする。
中公新書1442;中央公論社;¥940(借覧);新書判;縦組;並製;333頁;△;
;ぶんか社;¥1,500(¥800);A5判;;上製;127頁;△;
老女とその孫娘とを狂言まはしとした、しづかに傷みゆく家具・家電たちへの哀悼の物語。「しみじみとしたをかしさ」と評するべきかもしれないが、擬人法の採用もあつてか、(たッかいわりには)凡作。
ヤングユーコミックス コーラスシリーズ275;集英社;¥490(¥100);B6判;;並製;200頁;△+;
そよ(ヒロイン)の森高とは別のなぎ高を志望する大沢。そよは、大沢の学ランの釦つけをしながら、かう云ふ。
「そいじゃったらあんた わしゃあんたと一度掃除当番をしたいんじゃが 森高まで当番に来てやんさる?」
「超オッケーすよ」
「そいじゃったら 教室からあんた見たぁけえ 森高の校庭でサッカーして遊んどってやんさる?」
「……いいよ」
「そいじゃったらねー 試験中にケシゴム落としたら なぎ高から走ってきて拾ぉてやんさる?」「毎日のたあいもなぁことが ただケシゴム拾ぉてもらうことですら出来んよぉなる」(pp.118-121.)
何か、方言でしやべる女の子はやたらかはいいつスね。このシークエンスの最後のまだ曲っとるうー……
といふ落ちもうまいし。
モーニングKC-1166・1181;講談社;¥470(¥300・¥100);B6判;;並製;各182頁;△;
はげでデブで糖尿で無職でホモで世の中にぐちぐちと文句をつけつづけ老母に寄生して生きてゐる中年。ああ、これやオレだ。やべーなー。……。同性愛者ではないつスよ、オレ。
マーガレットコミックスワイド版2168;集英社;¥460(¥100);A5判;;並製;132頁;△;
思考のフロンティア;岩波書店;(借覧);B6判;横組;並製;122頁;△;
ぶ〜けコミックス40;集英社;¥360(¥200);新書判;;並製;211頁;△;
ぶ〜けコミックス63・64;集英社;各¥360(¥200);新書判;;並製;181・182頁;△;
(何だか別のひとのマンガみたい。)
ぶ〜けコミックス191・192;集英社;各¥359(¥200);新書判;;並製;202・207頁;△;
(1〜3巻はもつてないんだよなー、阿房な買ひかたしてるなー、でも古本は一期一会だからなー。)
思考のフロンティア;岩波書店;(借覧);B6判;横組;並製;116頁;△;
何でこのシリーズは「フロンティア」と称しながら(もしかしたら、それゆゑに?)、かうも露骨に思想輸入業をやつてゐるのか。思想が交通のなかにしかありえないとすれば、「自前の思想」ほど胡散くさいものはないといふことは私もわきまへてゐるつもりだけれど、ちよつとなぁ。
『図書』(岩波書店)『ちくま』(筑摩書房)『月刊百科』(平凡社)の10月号をとつてかへる。『百科』の斎藤美奈子「百万人の読書」、今回のねたは、『話を聞かない男、地図が読めない女』(主婦の友社、わたくしは未読、しかし彼女はまへに別のどこかでこれやつてなかつたつけ)。
(p.32.)
とばさり。さやうならむ、と思ひながらも、やつぱり藝のない文のつけかたをしてゐる気がしてならない。本の主張を
とくくつたうへで (同)といふ辺とか(ちなみに私は「男女の非対称性」(小浜逸郎)つてやつぱりあると思ふなぁ)。で、疑似科学については、(p.33.)
といつてゐるけれど(強調は引用者、ここんとこ結構ひどいいひぐさぢやないか)、『ちくま』では、澤口俊之(北海道大学教授・脳科学)が、
とかいてゐる(pp.46-47.、「ちょっとあぶない脳[7] 同性愛になる脳」、引用下手でもうしわけない)。厳密には、斎藤と澤口とは真向対立しているわけではないし、澤口の本質主義的なところはすごく気にかかるけれど、かというていつまでもラディ・フェミの構成主義一辺倒でもあるまい。斎藤には猛省をうながしたい(つて何ものか、おれさま)。
広島駅ビル廣文館で『マンガエフ』誌11月号(太田出版)と榎本[2000]とを購入。フタバ図書で、さらにPR誌を2冊(角川書店の『本の旅人』と新潮社の『波』と)をとる。『F』は、今号は新人大特集でなかなかの(小)つぶぞろひ。砂の新連載「ポストイディプス」がはじまつてゐる。雁須磨子の「ワンコインクリア」はシリーズ(隔月)だつたのか。この人は『メロディ』の連載(「どいつもこいつも」)も「ダバ絵」(『マサルさん』)感が何ともいへぬいい感じだと思ふ。毎号「いい」といふこゑが誌上にたかい安田弘之「紺野さんと遊ぼう」を今回はじめてよいと思うた。ここまで即物的でないと感じないわたくしの想像力の貧困さよ。