不要不急の読書日記也。
;岩波書店;¥4,000(借覧);B6判;縦組;上製;299頁;△;
;風間書房;¥10,500(借覧);A5判;横組;上製264頁;;
おもには漢字表記と仮名表記とのちがひについての研究。著者によると、これまでその説明として、「知覚的処理差仮説」(漢字と仮名とでは処理される大脳半球がちがふから、といふもの)と「音韻符号媒介仮説」(漢字はぢかに意味とむすびついてゐるが仮名はそのあひだに音韻を介する、といふもの)とが出されてきたが、15の実験をとほして検討した結果、著者の「意味処理差仮説」が支持されるといふ。私は(認知)心理学にうといので、この本の内容ははつきり言うてよく分らぬのだけれど、なかでもこの「意味処理差仮説」といふのが何なのかが理解できないまま読みをはつて(?)しまつた。以下、著者による研究のまとめを引いておきたい。
- 漢字表記語もかな表記語も同様に直接ルートを介して語彙情報に素早くアクセスできる。従って、かな表記語が音韻的符号化を介する間接ルートを利用するため、その意味的符号化が漢字表記語に比べて特に遅れるということはない。
- ただし、語彙情報にアクセスした後に検索される意味情報には両者に質的な差異があり、漢字表記語からの意味情報は、かな表記語によるものよりもイメージ等を含んだ豊なもので、意味レベルでの絵の意味情報と相互作用しやすい性質を持つ。
- かな表記語で同音異義語がある単語の場合には、複数の語彙情報が一緒に活性化される。これらを文脈的な手がかり無しにボトム・アップな処理だけで峻別するのは不可能である。
- かな表記語では、その音韻的透明性ゆえに、間接ルートを介した音韻的符号化が、漢字表記語よりも用意にかつ素早く行えるだろう。このことが、かな表記語の命名課題での有利さの一助になっているのだろう。しかしだからといってその命名が間接ルートだけで行われるわけではない。
(p.240.)
この研究は、現代日本語を対象としてのもので、私が(一往)専攻する変体漢文にそのまま応用することは勿論できないだろうけれど、なにか参考になるかと思うて読んでみました。
一日ダルな感じ。ゆふがた、ひさびさに「カードチャプターさくら」(NHK教育)をみる。新展開にはひつてゐて設定がよく分らぬ。といふかこのアニメ、はじめの頃はクオリティたかいなー、と思うて見てゐたけれど、きちんと収拾がつくのかしらん。
;東京大学出版会;(借覧);A5判;縦組;上製;334頁;△;
著者の名の「高」は、いはゆる「ハシゴ高」なのだけれど、ここでは包摂にしたがふ。思つてゐたほどおもしろくない。通念打破、といふのでいきみすぎの感じ。内容は詳細な実證で、よくついてゆけないしね。むしろ終章に紹介されてゐる、京楽真帆子「『寝殿造』はなかった」〔高橋昌明編『歴史を読みなおす12 洛中洛外―京は“花の都”か―』朝日新聞社・1994年、所収〕といふのがおもしろさう。なんでも平安時代の貴族邸遺構に「寝殿造」は見つかつてなくて、
現在の「寝殿造イメージ」の原型は、武家に圧倒されつつあり、故実に基づかない見苦しい邸宅しか立てられなくなった〔室町期の〕公家が、自らの文化の保持に危機感を抱き、公家文化の華麗さを示すため、ことさら整然・壮大なものを空想した、そのような危機感と過去追憶の所産の混合で、その虚構を江戸時代の学者や現代の我々が実在のものと信じこんでしまった
(本書p.300.)
んだつて。論文名の歴史修正主義
(p.180.)つぽさは気にかかるけど。
『リトルモア』誌をたちよみ。福田和也『作家の値うち』(飛鳥新社)のつづきがはじまる模様。前置きはいいから、とつとと始めてほしい。でなきや、批判(管見の範囲では、斉藤美奈子『週刊朝日』誌、大杉重男『群像』誌(『新潮』誌だつたか)、「撃」欄『噂の眞相』誌、絓秀実『文学界』誌(これや肯定なのか?)など)に応接しておいてほしいところでした。
講談社文芸文庫;講談社;¥951(¥490);文庫判;縦組;並製;331頁;△;
かういふ本をよむと、書物といふものはなによりそれを味ふことが肝腎であつてショオペンハウエルも、読んだことを一切忘れまいといふのは食べたものをすべて体内にとどめておきたいと願ふやうなものだ、といつてゐるやうに、なにもかうして毎日鹿爪らしくつまらないことを書くには及ばないといふことがおのづと分つてくるもので、もしさうでなかつたらそれは残念ながらはじめから本統に読書を楽むといふこととは縁がなかつたといふことであつて、それならばそれで、別に生きる道といふものは世間にいくらでもあるのである。(もう息がつづきません。)
BIG SPIRITS COMICS SPECIAL;小学館;¥905;A5判;;並製;227頁;△;
平凡社のPR誌『月刊百科』7月号をみる。毎月楽みにしてゐるのは斎藤美奈子の連載「百万人の読書」で、今回は「「アダチル」という鉱脈を掘り当てたミステリー業界のミステリー」といふ題で、天童荒太『永遠の仔』(幻冬社、わたくしは未見)をあつかうてゐる(pp.31-34.)けれど、斎藤美奈子にしてはつまらない文句のつけかたをしてゐる、と思つた。エンタテインメントが「ベタ」で「図式的」で何が悪いのか。あと、ネタばれを禁じるミステリー書評が、大仰な讃辞ばかり呼んでいるのだといふけれど、それはむしろ評者の筆力の問題ではないのかしら。
きのふ借りてきたCDをきく。sugar soul『うず』(ワーナーミュージック・ジャパン)、Cocco『けもの道』(ビクターエンタテインメント)、ともさかりえ『少女ロボット』(東芝EMI)の3枚。『少女ロボット』がいくらかマシか。しかしこれにしても、ともさかりえが椎名林檎(SR)してゐるにすぎぬ。
OVA『フリクリ』(キングレコード)の第2巻、「ファイスタ」をみる。マミ美が色つぺー!! 厚みのある脣の艶つぽさがたまりません。「やだ……タッくんから太いヘンなのが」とか云つちやふし。ハル子の生著がへもあるし。あと、ナオ太の同級生の声に本当のおとこのこをつかつてるのがいい感じ。小学生は、こんなふうに莫迦であつてほしいもんである。
シリーズ リベラル・アーツ;東京大学出版会;(借覧);A5判;横組;並製;209頁;△-;
なんつーかね、ゆるゆるな感じ。ハードな本を求めるひとにはものたりないだらうし、親みやすさを装つてはゐるけれど、かというて(本来の対象読者であらう)教養ゼミ生の眼をみひらかす力があるやうにも見えませんでした。
岩波セミナーブックス69;岩波書店;(借覧);B6判;縦組;並製;184頁;△+;
何より旺盛にいろんなものに眼をとほして咀嚼してゐるのに感心する。私といへば、自分の研究対象を特権的テクストとして肥え太らせることしかしてないもんなあ。
笠間叢書322;笠間書院;(借覧);A5判;縦組;上製;748頁;△;
この巨冊を云々することは私にはできないけれど、ひとことでいへば、至誠は天に通ず、といふ感じ。
研究発表会、冷房のきいた部屋で感心したり居ねむりしたりニャんだかニャー、と思つたりしてゐるうちに一日がすぎる。かへりの電車が広島駅終着だつたので、そこでおりて、駅ビルの廣文館をのぞく。一時間ほどふらふらするが、かひたいものもなし(ただ、哲学書のコーナーにあつた『哲学者の友情』(白水社、著者名は失念)といふ本の腰巻の正面のところに「アドルノが/どこまでも/追ってくる」とあつて思はずふきだした)。フタバ図書のはうにまはつていろいろみつくろつてかへる。
BAMBOO COMICS;竹書房;¥590(¥295);A5判;;並製;136頁;△;
JETS COMICS;白泉社;各¥600(各¥100);A5判;;並製;132頁・132頁;△+;
さういへば、『Kiss』誌(講談社)に、「一緒に遭難したいひと」がのつてゐたけれど、いまひとつでした。このマンガはなかなか楽かつたです(←ひでー感想文)。
DengekiComicsDX;メディアワークス(発行)・角川書店(発売);¥680(¥450);A5判;;並製;160頁;○;
すつごい救はれる。いーなー、こーゆー呼吸。
WINGS COMICS;新書館;¥476(¥100);B6判;;並製;206頁;△;
WINGS COMICS;新書館;¥485(¥100);B6判;;並製;194頁;△;
マーガレットコミックス1277・1286;集英社;各¥360(各¥100);新書判;;並製;223頁・175頁;△;
葵がこんなに男のすくひになつてしまつてていいんスかねえ。なんかいろいろほめてゐるのをみた気がするけれど、ちよつとピンとこなかつたッス。まあ、またよみかへしてみます。
;おうふう;(借覧);A5判;縦組;上製;793頁;△;
けふは一日ねたりおきたりしながらこの本をよんでゐてをはつた。研究書なのに奥附に値段が書いてない本がおほいけれど、将来の値上げにそなへてのことだらうか(よからぬ話だ)。この本は、思はせぶりなサブ・タイトルだし、「文章史」というてゐるけれど、いはゆる文体研究とは随分手法がちがつてゐて、はたして首肯してよいやらどうやらよく分らぬ。
講談社学術文庫1409;講談社;¥920(借覧);文庫判;縦組;並製;322頁;△+;
大学からのかへりのJRの車中で、見知らぬ男に肩をたたかれる。なにかと思うたら、私が座席にしたに傘を落としてゐるといふのである。なるほど、たたんだ折りたたみ傘だつたから、さう思はれてもしかたがないといへばないのだけれど、ぬれた傘を鞄に入れておく気にもなれず置いてゐたのである。わざわざはなれた席から言ひにきてくれなくつてもさー。さういへば、むかし注のついた本を、注と本文とをいつたりもどつたりしてよんでゐたら、隣席の酔つた男に、ちかごろのわかい人はかはつた本の読みかたをするんですねえ、大人と若者と話が通じないのもそのせゐですかねえ、とはなしかけられたこともあつた。〈他者〉空間としての電車。
フィールコミックスGOLD;祥伝社;¥933;A5判;;並製;206頁;△;
;名古屋大学出版会;(借覧);B6判;縦組;上製;285頁;△;
ぶりりあんとな批評精神に充ちた一冊(笑)。
『国語学』第51巻1号(通巻201号)がとどく。あー題字が新字体だ(一体だれがデザインしたのか)。横組・左とぢは、やつぱり違和感あるなー。といふか、行がながくて眼うつりしさう。まあ、慣れの問題だらうけれど。頁あたりの字数へつてんぢやないかしら。さてはて。突然おもひたつて、『フリクリ』テーマソングの the pillows『Ride on shooting star』(キングレコード)をかひにゆくと、試聴機で使用したんで2割引のものがあつた。ふーん。世の中にはかういふ仕組があつたのか。
小学館文庫;小学館;¥552(1割引);文庫判;縦組;並製;286頁;△;「博奕の人間学」増補改題
;和泉書院;(借覧);A5判;縦組;上製;290頁;△+;
啓発せられるところおほし。
徳間文庫;徳間書店;¥552(1割引);文庫判;縦組;並製;350頁;△;
「文庫版あとがき」が文学への愛をかたつてなかなか感動的。唐沢俊一「解説」もよろし。
ちくま文庫;筑摩書房;¥780(1割引);文庫判;縦組;並製;308頁;△;文庫化にあたり改訂
;角川書店;(借覧);A5判;縦組;上製;381頁;△;
ちくま文庫;筑摩書房;¥544(¥300);文庫判;縦組;並製;222頁;△;
Wonderland COMICS;宝島社;¥857(¥400);A5判;;並製;190頁;△;
;太田出版;¥952(¥500);A5判;;並製;151頁;△+;
濃いーッス。
;同文書院;¥1,500(1割引);B6判;縦組;並製;247頁;△;
よんでないの沢山あるなあ。でもたとへば、いくえみ綾のばあひ『バラ色の明日』からはひつてしまつた私は、初・中期の絵はちよつと見るにたえぬのである。
少年サンデーコミックス;小学館;¥390;新書判;;並製;184頁;△;
達者だなあ、といふ感じ。あと、これを買うたら籤がついてゐて、あたりでコナン君のペットボトル保冷袋がもらへました。
ヤングユーコミックス;集英社;¥505;B6判;;並製;199頁;△;
知恵の森文庫;光文社;¥457;文庫判;縦組;並製;212頁;△+;
もしかすると、なんかつまらん生きかたしてるンすかねえ、私は。
ひつじ研究叢書(言語編)第19巻;ひつじ書房;¥19,000(借覧);A5判;縦組;上製;651頁;;
金田一賞受賞。おめでたうございます。
;洋泉社;¥2,000(借覧);B6判;縦組;上製;294頁;△+;
かういふ本が日曜研究家
(奥附)にかけるのだから、日本の研究水準といふものもまだまだ捨てたものぢやないなあ、と思ひました。
中央図書館で、文藝誌の8月号をざつと見る。『文学界』誌で、村上龍と小熊英二とが対談してゐる。小熊英二は(まあ、厳密にはやつてることがちがふんだからくらべるのがをかしいのだらうけれど)安田敏朗の30倍はえらい学者なのだけれど、写真を見るとロンゲの兄ちやんなのでびつくり。またひとつ私の顔文一致主義がうちやぶられてしまつた。
MISIAの新譜『ESCAPE』(BMGファンハウス)と「アイコ」ミーツ「リンゴ」
(『サイゾー』誌8月号、p.87.)と評判の矢井田瞳『Howling』(青空レコード)『B'coz I Love You』(東芝EMI)とを借りてきてきいてみる。たしかに、『B'coz I Love You』のでだしが、ここキスに似てゐるやうな感じはするけど、林檎とは全然別ものだとおもふなあ。矢井田には、まるでACぽさがないもの。かというてaikoの恋愛に対しての反時代的な姿勢(確信的なダサさ)も共有してるわけでなし。どうしてそんな話題になつてるのだらうか、といふ感じ。あと、声のビブラートが民謡のやうだ。
;筑摩書房;¥2,200(借覧);B6判;縦組;上製;261頁;△;
モーニングKCDX-1315;講談社;¥648;A5判;;並製;210頁;△;
うるはしい交情(ラヴ・ストオリイ)といへぬでもないけれど、男権的セクシュアリティに無自覚なところが多分に猥褻でもある。
;新曜社;¥2,400(借覧);A5判;縦組;上製;288頁;△;
これはこれでよいのだけれど、こちらは津田左右吉の為事を総体的に論じたものを期待してゐたので、本の撰択をあやまつたなあ、という感じ。
これ這の隻狂児忽然大塊を踏んでより春秋茲に二十有五、頤既に疎髯を生じたりと雖も未だ父母を奉養すること能はず、且つ帰って自ら口を糊するに苦しむ
(「隻狂児伝」〔本書p.23.より重引〕)
あー。
;コスモス・ライブラリー(発行)・星雲社(発売);¥1,800(借覧);B6判;縦組;並製;341頁;△--;
きちんと著者名をみておけば、さつさと「あやかり宣伝本」だと気づけたのになあ。失敗ッス。
;大修館書店;¥2,600(借覧);A5判;縦組;上製;216頁;△;
中公新書1515;中央公論新社;(借覧);新書判;縦組;並製;220頁;△;
「てりむくり」(照り起り)といふのは、唐破風にみられるやうな、ひとのうはくちびるのごとく、まんなかのもりあがつて(起り)両端のさがつてそつた(照り)かたちのこと。著者はこれが日本独特のちからにみちたデザインだといふ。ふーん、という感じだけれど、第八章で日本文化論までつながつてゆくと、さすがに、おいおい、といひたくなる。だけど、それがこの本のあぢ(トンデモ風味?)のやうな気もします。
;講談社;¥1,500(借覧);B6判;縦組;上製;197頁;△;
小説なんぞよむのはひさしぶりである。めでたく芥川賞を受賞せられた松浦先生の旧作をよんでみたのだけれど、そこで圭一は彼女の細く柔らかな陰毛を両手で分けてじっとりと濡れた陰唇に指を届かせ、その襞と襞の間にたちまちぬらついてくるオパールを挟んでみた
(「ふるえる水滴の奏でるカデンツァ」p.67.)りするんだから、やーらしー。といふか、文学つてなんだかなあ。
マーガレットコミックス;集英社;¥390;新書判;;並製;172頁;△;
友‐敵理論?
ビッグスピリッツコミックススペシャル;小学館;各¥1,068(併せて¥500);A5判;;上製;177頁・177頁;△+;
;四谷ラウンド;¥1,700(借覧);B6判;縦組;上製;331頁;○;
カッコイイ!(この本よむと、うへの松浦先生のところに書いたのがすげーはづかしく思へてくるなあ。)
フランス書院文庫;フランス書院;(¥100);文庫判;縦組;並製;231頁;△;
岩波新書(新赤版)656;岩波書店;¥700(借覧);新書判;縦組;並製;240頁;△;
松本清張全集51;文藝春秋;(借覧);B6判;縦2段組;上製;431頁;△;
「文豪」の文庫化(と『週刊文春』誌での坪内祐三の推挽と)を期に全集本でよんでみる。といつても、「行者神髄」のおしまひの「先生」がだれだが分らんレヴェルの読み手にすぎぬ。そんな私ですが、「眩人」第2部の回想記じたてはうまくないなあ、と思ひましたよ。
明林堂書店にたちよみにゆく。『週刊文春』誌で、中村うさぎ、小林信彦、土屋賢三、高橋俊男、近田春男、藤本由香里、坪内祐三、ナンシー関各氏のコラムをみる。近田氏のMISIA『ESCAPE』の歌詞がジャケット/楽曲に比してあまりにをさない、といふ指摘肯綮にあたれり。畑正憲がライオンに指をくひちぎられた、と関氏文にて知り一驚を喫す。『ララ』誌で、田中メカ、藤川佳世両氏の連載および緑川ゆきのよみきりを、『プチフラワー』誌で、諏訪緑、吉野朔実、萩尾望都各氏の連載を、『ヤングユー』誌で、鴨居まさね「雲の上のキスケさん」をみる。
先日、きら『まっすぐにいこう。』の感想に「友‐敵理論?」とのみ記したことの補足。これは、このところよみかへしてゐる麻生みこと『天然素材でいこう。』にもいへるやうに思ふのだか、要するに、仲間内しかないのである。その外部はすべて「敵」。でなければ、すでに仲間化の豫定された他者しかでてこない。つまり、完全にとぢてしまつてゐるのである。それに対するに、鴨居まさね「雲の上のキスケさん」の今月分を見るに、ここには、仲間から力をもらふにしろ(勿論そのことを咎めるつもりは――これは『まっすぐにいこう。』についても――毛頭ない)、きちんと世間といふ他者――たとへそれが「をばさん」であるにせよ――ときちんとわたりあつてゆかうといふ健全な意志が存してゐる。このあたりが、少女マンガとレディ・コミとのちがひ(境界線のひとつ)だらうか。後考を俟ちたい。
中公新書425;中央公論社;¥340(¥100);新書判;縦組;並製;188頁;△;
;マドラ出版;¥2,300(1割引);A4変形判;横2段組;並製;162頁;△;
浅田彰「スーパーフラット・アイロニー」(「手帖2000」第11回、『波』2000/6月号、新潮社)要参照(東浩紀掃討の一環? しかしJ回帰のなにがわるいのか、実は私にはよく分つてをらぬのだが)。現代アートは、すげー楽い/おもしろい、と思ふときと、資本主義的頽廃、と思ふときと波があるのだけれど、これは何といふかなあ、んー、竹熊健太郎「JR中央線“夢のトーマス化計画”」(本書p.89.)は無条件に好きだけどなあ。
人物叢書 新装版(通巻215);吉川弘文館;¥1,800(借覧);B6判;縦組;並製;247頁;△;
抄物の背景、みたいなものが知りたくてよんでみたもの。しかし、五山文学研究としてしか書かれてゐないやうに思へました(といふか、あまり一般の読書人に親切なかきかたでない)。抄物の研究と五山文学研究とに架橋がない、といふのだつたら、それは不幸なことだなあ。
マドンナメイト;マドンナ社(発行)・二見書房(発売);(¥100);文庫判;縦組;並製;302頁;△-;
頗る能天気な(義)父娘相姦もの。
;明治書院;¥6,800(借覧);A5判;縦組;上製;494頁;△;
PHP新書120;PHP研究所;¥660(1割引);新書判;縦組;並製;202頁;△;
午後6時から、「椎名林檎稀◯実演キューシュー座禅エクスタシー」(於飯塚嘉穂劇場)インターネット・ライブ生中継をみてみる。開演は四十分ほど遅れる。曲目は、
積木崩しすべりだいMC)「虐待グリコゲンです。やります。」
[知らぬ曲:「東芝イーエムアイ」といふ題箋のある冊子をもつて]MC)メムバー紹介
[知らぬ曲:どこかで聞いたやうな]「ストイシズム」が終つたところで、中継はおしまひ。これは、こちらのスペックの問題だらうけれど、音声も画像も難がありました。やはり、コンサートは会場でないと楽めさうにないなあ、といふのが今回の教訓。林檎嬢が、口笛をふくときに著物の袖で口もとをかくすのが、何とも婀娜つぽかつたです。
「Shena Ringo Network」にのつてゐた「「ネット」ライブレポ」によりて、以下を訂正。「1)積み木遊び 2)眩暈 2')少女ロボット 5)拝啓EMI殿(セックス・ピストルズ) 14)マイ・ラグジュアリー・ナイト(来世たかおのカバー)」。1)、2)については、はづかしや、何をどうかんちがひしたのやら、といふおほまちがひ。2')をつけた「少女ロボット」は、このあたり接続がわるく、やうやくききとれるやうになつたときには既に「3)リモート・コントローラー」になつてゐてまるまるききのがしたもの。アンコールは、「日本に生まれて」だつた由。][2000/7/31]