《ベイビー! 逃げるんだ、げるんだ》逃げたって何も変わらぬような気もする
上妻朱美
ドラゴンコミックス;角川書店;¥900;A5判;;並製;152頁;△;
「男類女族」とか「子供たちを責めないで」とかは、つづきはどうなつてるんだらうか。しかしこの作者は本質的にモラリストだよなぁ。
ヤングユーコミックスワイド版;集英社;¥838(¥500);A5判;;並製;191頁;△+;
何といふか、人間性への信頼がこのもしい。
アフタヌーンKC-194;講談社;¥505(¥100);B6判;;並製;218頁;△+;
村上[2000]になまへがあがつてたなー、と思うて端本を買うてみたンすけど、なかなかおもしろい。しかし、判型がもつとおほきいはうが格好よからうなあ。
中公叢書;中央公論新社;¥1,900(1割引);B6判;縦組;並製;350頁;△+;
つねづね気にはかかつてゐた著者なのだけれど、「中公叢書」といふところでやうやく好機とみて手にとるのが何とも亜インテリくさいな、オレ。内容は感服いたしました。
少年サンデーコミックス5539;小学館;¥390(N氏蔵書);新書判;;並製;190頁;△;
ひとは刺戟になれやすいから、本作もかなりエスカレーションしてゐるけれど、しかし感想としては、何といふか、爆笑といふわけではなくて(オタク)生活小実感集といふ感じ? まつたりとなまぬるいここちよさのなかにゐるやうな。あと、フェチズムの極みですね
(p.95.)は、「フェチシズム」のまちがひ。
ACTION COMICS;双葉社;各¥933(借覧);A5判;;上製;;△;
ノンブルをうつてないので、ページ数は不明(普通の厚さ)。いまどき、「4コマは起承転結だ」といふやうな(それこそ「奴隷の韻律」(小野十三郎)にとらはれた)考へをもつてゐるマンガよみはゐなからうから、そんな力まなくつても、とまづ云ひたい。こんな逡巡をしてゐるのは、哲学をしらないからだ、と中島義道ならいふだらうなー、といふのが感想(←あー、ふきだししかよんでねえな、オレ)。
文化の日。「本のリサイクルフェア」があり、市立中央図書館で以下の17冊の本をとつてかへる。
アフタヌーンKC-182;講談社;¥505(¥200);B6判;;並製;246頁;△;
何も「設定の説明」がないな。すげー。
NHKブックス[894];日本放送出版協会;¥920(借覧);B6判;縦組;並製;235頁;△;
後半の文化論とか文学論とかは別として、前半の提喩・換喩・隠喩についてのところは最近の研究を要領よくまとめててわるくないんぢやないンすかね(かう書いたからというて、私に譬喩のことを訊いてきたりしないやうに。しかし、私はレトリックについては香西秀信さんがすすめてゐるやうな、説得の技法としての研究のはうが気になるなー)。
TUKASA COMICS;司書房;¥857([2000/11/3]拾得);A5判;;並製;178頁;△-;
「道におちてるもんをひよいひよいとひろふんぢやない」つて親にいはれなかつたのか、つふ感じですな。さて、このひとはときどき見かける(最近だと、『ホットミルク』誌11月号(コアマガジン)の巻頭カラー)んだけど――雑誌の紙質だと特に――、絵(線)がきたないなあ、と思ひます[*]。内容についてもルーティン・ワークとしてのエロマンガでしかねえよなー。
[*]どうも、「ネオ劇画系」(永山薫)といふ「クラスター」に属するみたいですよ(『ホットミルク』誌12月号(コママガジン)「コミック・ジャンキーズ」特集・ハードなラヴ、を参著)。[2000/11/6]
野嵜健秀「言葉 言葉 言葉」の「闇黒日記」2000.11.4条からリンクがはられてゐて喫驚[*]。かく公開して自分で検索エンジンに登録したものにリンクせられてゐるのにおどろくといふのも変なはなしだが、私はかつて「言葉 言葉 言葉 掲示板」において、野嵜氏に匿名で狼藉をはたらいたことがあるから(まあ、それがなければこのリンクもなかつたらうだけれど)、非常にばつが悪い。私はこのページでも、平気ででたらめなことを書いてゐることがあらうかと思ひますので、御覧のかたでお気づきになられたらビシバシ御指摘いただければありがたく存じます(←これが一見謙虚なやうに見えて、その実、傲慢な居直りのたぐひにすぎぬことも、常識をわきまへたほどのかたには、きつとばれてゐるだらうけれど)。
[*]同「kotobaseek」の「國語國字問題」>「正統表記」のディレクトリからもリンクせられてゐる。勿体なし。[2000/11/5]
[*]同「kotobaseek」の「コンピュータ」>「CSS」ディレクトリの「css/html正統派」(!)にもリンクせられてゐて、ビックリ。忝なや。[2000/12/24]→「XHTML」に移動。
;清文堂出版;¥9,000(借覧);A5判;縦組;上製;404頁;△;
どうも私は、ひとのはなしを無暗に感心するか、感情的に反撥をくりかへすかのどちらかで(結局、理会にいたらない!)、この本については前者で特にいふことはありません。しかし、前半に(といふのは、こちらの注意の逓減にともなふ「偶発的欠落・accidental gap」(本書p.118.の用語)のおそれがつよいけれど)まちがひが散見せられるやうなので、気づいたかぎりであげておくと、
遠藤邦基氏は、注15論文に(p.66.注19)→正)注18論文に
図書察本類聖名義抄
勉識社複製(p.82.注1)→正)「図書寮本類聚名義抄」「勉誠社複製」
注(1)論文(p.82.注4)→正)注(2)論文
小松英雄『日本語の歴史7 音韻』(一九八一 中央公論社)(p.127.注1)→正)『日本語の世界7 日本語の音韻』
吉川泰雄氏「近古国語に於ける長拗音『ゆう』と『よう』との相関(p.158.)と
吉川泰雄氏「近古国語に於ける長拗音『ゆう』と『よう』の相関(p.171.注5)とでは、どちらがただしいのか。
一体かうした素読みしただけで気づくやうなまちがひを嬉嬉としてならべたてるところに、この閉領域の主のいぢけた性根を見る思ひがしますが(←自分でさう云つとけば免罪されると思うてゐるところがまた!)、つぎはもうすこしまとも(さう)なことを。現代語と同じ「コワス」「コワレル」という形は、江戸時代になってから現れるようである。いま、偶目した二、三の例を示すと、次のようなものがある。
(p.72.)といふ文中の「偶目」といふ語は、「たまたま目にした」といふぐらゐの意味だと思ふのだけれど、いま手もとの国語辞典と漢和辞典と2種づつ(『新潮国語辞典第二版』(新潮社、1995)『広辞苑第三版』(岩波書店、1983)、『新大字典』(講談社、1993)『学研漢和大字典』(学習研究社、1978))を見てみると、そのいづれにも立項されてゐない。ただ、「寓目」といふ語はある。これは「注目する」といふ意味だから別語ではあらうけれど、「寓」字が当(常)用漢字表外字であることと何か関聯してはゐないだらうか(「グウモク」といふ漢字語が空き家になつたところに、「偶目」といふ新語がもぐりこんだ、といふやうに)。
別冊エースファイブコミックス;松文館;¥790([2000/11/3]拾得);A5判;;並製;163頁;△-;
奥附に(掲載マンガの登場人物はすべて18歳以上です)
とあるのがイタイ感じ。
思考のフロンティア;岩波書店;不明(借覧);B6判;横組;並製;129頁;△;
「フーコーのおけら」(福田和也)と言へば言へなくもないけれど、悪くなかつたです。
新潮OH!文庫025;新潮社;¥505(1割引);文庫判;縦組;並製;210頁;△+;
この本とは関係ないことですが、日垣氏は別名義[*]で小説を書いてらつしやると聞いたやうに思ひます。どういふなまへなのか御存じのかたがいらつしつたらお教へくださいまし。
[*]と学会[2001:240a](志水一夫執筆の注)によると、愛沢信吾の由。
ぶ〜けコミックスワイド版;集英社;¥534;A5判;;並製;156頁;△;
古代文学研究叢書2;若草書房;¥9,000(借覧);A5判;縦組;上製;401頁;△;
んー、「野心作」というておかうか。そもそも、この本を見てみようと思うたのは、西尾幹二が親父系オピニオン誌で『国民の歴史』(未見)を書くためによんでおもしろかつた本のひとつに数へてゐたからで、たしかに貴重な試みだとは思ふのだけれど、短い文が(山を缺いて)ならべられてゆく叙述ぶりといひ――『国語と国文学』誌にのつた書評だつたか最後のはうに、編輯者はもつとよみよい文にかきなほさせるべきぢやなかつたか、といふ意味のことが書いてあつて、その書評だけ見たときは、何もそこまで、と思うたけれど実際よんでみると、たしかに、と思ふ――、ちよつと評価しにくい。気づいたまちがひの類は次のとほり。
「日」や「見」は音仮名として使っている可能性もある。(p.194.)→正)訓仮名
これまでの論者はより表現者の心にそった表現は仮名文がすぐれていると考えている。しかし、それは文体の違いであった。漢詩文が堕るわけではない。(p.197.)といふのを、「おとる」とよませるのに無理はないか(まあこれは、著者の裁量のうちの問題かもしれぬが)。
これらは恋の葛藤の末、悲劇的な結末に至る伝承だから、仮名散文の物語になりえたのではなぜだろうか。(p.224.)→多分、「ないだろうか」
そして、何よりの問題は、pp.176,222.の2箇所で、古筆家の「小松茂美」の名をあやまつて「小松英雄」としてゐることである。もし古橋氏が本当に小松英雄の論に接してゐたならば、たとへば『土左日記』論はまるでちがつたものになつてゐただらう。残念なことである。
花とゆめCOMICS;白泉社;¥390(1割引);新書判;;並製;190頁;△;
新潮文庫;新潮社;¥220(¥110);文庫判;縦組;並製;191頁;△;
;講談社;¥1,900(¥950);B6判;縦組;上製;318頁;△;
みづから正しいと信じて書く言葉の何と強いことか。(でも、依拠する文藝評論家が清水良典や巽孝之に、ミナトぢやあなー。つていかにも純文ぎらひの評論家然としたことを感じてしまうた。あと、大塚英志や井口時男の名をまちがうてゐるのは一流出版社の本としてどうよ。)
ヤングユーコミックス コーラスシリーズ197・209・♦;集英社;各¥476(各¥100);B6判;;並製;192・206・182頁;△;
FC GOLD;祥伝社;各¥924(各¥100);A5判;;並製;192・184頁;△;
BAMBOO COMICS;竹書房;¥590;A5判;;並製;139頁;△+;
「漫歌」が人生の1断面を4コマといふ形式に結晶せしめやうとするのに対して、本作はストーリー4コマの手法によつて30前後の(男)女の人生の困難と救ひとを説得力をもつてゑがきだしてゐる。美事な達成というて差支へありますまい。
平凡社新書057;平凡社;¥680(1割引);新書判;縦組;並製;258頁;△;
『月刊百科』連載中、貴司山治のプロレタリア文学『忍術武勇伝』を紹介されたときにははつきりいうてぶつとんだ(ちなみに忍術つかひは何と桂小五郎。しかし、どうしてあの連載時のすばらしい“プロレタリ
モーニングKC-1164・1168;講談社;各¥456(各¥100);B6判;;並製;166・182頁;△+;
PFコミックス71-76;小学館;各¥485(各¥100);B6判;;並製;194・194・211・194・203・202頁;△+;
小谷野敦「紫堂恭子頌」(「裸の王様の耳はロバの耳(9)」『本の旅人』誌11月号、角川書店)にあふられて購入。ファンタスティック・コメディ。「隊長さん」はいい男だよなぁ(身近にゐたらたまらんだらうが)。けふよんだマンガはどれも幸せな感じでうれしかつた。
宝島社;;B5判;平綴;△;
不断は購読はしてないんだけれど、なぜだか出先(このとき高知)だとほしくなるんだよなー。しばらく見ないうちに色々しらない人がかいてゐてなかなか面白かつたけれど、安野モヨコの亜流みたいのがおほいやうに感じたのも事実。あと、黒田硫黄「肉じゃがやめろ」(最終回)の直後に、女の子が好きな男に肉じゃがをわたさうとして男の部屋のまへで待つてゐるといふ筋の橋本ライカのマンガを載せてゐるのは故意なのか。
新潮OH!文庫019;新潮社;¥714(1割引);文庫判;縦組;376頁;△;
ちなみに、波方でフェリーをまつ車中でよんでゐて突然わらひごゑをあげたのは、岡田氏が村上隆の「ヒロポンちゃん」を見て、
こりゃブッサイクですね〜。どれくらい不細工かというと、まるで85年あたりに不動産屋が『いっちょ映像業界にでも進出するかぁ。まずアニメでも作るべ』とかいって、スカみたいなスタッフ集めて適当にでっち上げて発売したはいいけど、300本しか売れなかったアニメのキャラクターみたいにブッサイクです。
(pp.192-3.)
と云うたといふくだりをよんででした。ちなみに、私は「ヒロポン」ではないけれど、「Project ko2」は広島現代美術館で実物を見たことがあって、そのときの感想は、(写真とちがうて)随分よごれてるなー。といふことでした。;塙書房;不明(借覧);A5判;縦組;上製;378頁;△;
自分が「略体」といふ概念を誤解してゐたことに気づく。
潮文庫238;潮出版社;¥320(¥50);文庫判;縦組;並製;165頁;△;原本「まえがき」の日づけは「一九八〇年三月二日」
JETS COMICS 810;白泉社;¥505;B6判;;並製;190頁;△;
いや、よかつたンすよ。ほんわりしてて、絵も綺麗で適度にHくて。ただ、かう毎日マンガを買うてしまふ自分がなー(どうかしてる)。
講談社文庫;講談社;¥380(¥100);文庫判;縦組;並製;212頁;△;
山田詠美の小説は一作もよんだことはないのだけれど、『文學界』――ところで、大塚英志の「サブ・カル文学論」連載中止になつたみたいつスね。この雑誌も半端な越境が好きなくせにケツの穴ちひせえな。――新人賞の選評は毎回楽みにしてゐる。で、エッセイ集をよんでみることにしたのだけれど、ま、普通でした。といふか、別に彼女の生活に興味がある訣でなし。さうさう、小説よんだことないつて書いたけれど嘘でした。以前『快楽の動詞』(文春文庫)を読みました。多分傍流に属する作物だと思ふけれど、これ最ッ高にセンスがいいです。
フィールコミックスゴールド;祥伝社;¥857;A5判;;並製;179頁;△;
貴子つて「裏まっすぐにいこう。」(背面から見た少女マンガ)だと私は思ふ。うーむ、怖いなあ。そしてタカハシを貴子にうばはれたカヨコは、傷心旅行先の箱根で旅館の若旦那と……。この若旦那のキャラがまたヘン。安野氏は現代恋愛愚者絵巻をゑがかうとしてゐるのだらうか。(←何か未整理な感想つスね。そして、恋愛のステージからおりてしまうてゐる私には所詮何もいへはしないのだが。あと、相不変小ネタが絶妙です。)
ワイドKCKiss 456;講談社;¥571;A5判;;並製;100頁;△+;
…僕もしつけられたいっ
ACTION COMICS;双葉社;¥619(¥250);A5判;;並製;123頁;△-;
お、大阪の女のひとつてかうですか?
白夜COMICS;白夜書房;¥850(¥300);A5判;;並製;161頁;△;
題名のとほりの、岡崎氏の処女単行本。のちのちの長尺物も勿論好きだけれど、この本にをさめられた短篇群には既にしてそのポエトリィとセンスがきらめいてゐて、素敵でした。
ワイドKCKiss 421;講談社;¥695(¥200);A5判;;並製;160頁;△+;
1巻を持つてると思うて買うたのだけど、持つてなかつた(『RUSH』(アクションコミックス)とごつちやにしてゐた)。しかし読むのに何のさしつかへもなかつた。お姉さんは美人で凛凛しいし、男の子はカッコよくて可愛い。仲間はお莫迦でわいわいと楽い。いいなあ、かういふの。
;東京大学出版会;¥3,800(借覧);B6判;縦組;上製;457頁;△;
『知的詐欺』を私はおいしい水を飲むやうに読んでしまつたけれど、著者はさうではなかつたやうだ。サイエンス・ウォーズの概観をさせてくれたことには感謝したいし、学者が決して価値中立ではゐられない、といふのが科学論の教へなのは私もわきまへてゐるつもりだけれど、この反応は何だかなあ。あと、著者と同じくサントリー学芸賞受賞者の東浩紀がソーカル事件(といふか『「知」の欺瞞』の邦訳)を機縁に書いた「ポストモダン再考」(『アステイオン』誌54号)もけふたちよみしましたが、ピンときませんでした(特に目新しいことがなかつたやうな気がする)。
;白泉社;;B5判;平綴;△;
;講談社;¥3,200(借覧);B6判;縦組;上製;255頁;△;
それとも君は手紙書くのはお嫌いかな。ぼくが手紙大好きというのは、仕事をやらずにいて、何かやったという気持になれるという、こんな素敵な方法又とあるもんじゃないよ。
(p.102、ヘミングウェイのフィッツジェラルド宛の手紙(1925年夏)から)
この「手紙」を「日記」におきかへれば今の私の状況そのままだ(陸でもない自己顕示にすぎぬのに)。
;清文堂出版;不明(借覧);A5判;縦組;上製;318頁;△;
日経ビジネス人文庫;日本経済新聞社;¥743(1割引);文庫判;縦組;並製;298頁;△;『クルーグマンの良い経済学悪い経済学』を改題
;平凡社;¥2,000(借覧);四六判;縦組;上製;288頁;△;
;新潮社;¥1,500(借覧);B6判;縦組;上製;158頁;△;
よみをへてからあらためてジャケットの写真を見ると、たしかに「花ちゃん」には左の眼球がなかつた(これまでいかに漫然とながめてゐたにすぎなかつたかの証左)。
知恵の森文庫;光文社;¥514;文庫判;縦組;並製;239頁;△;
現在のジェンダー・バイアスを纏綿させてゐる限り、私はセックスを肯定するつもりはないけれど、だからといつて、著者を非難する気は毛頭ない、といふか出来ない。しかし、
中公新書1473;中央公論新社;¥760(借覧);新書判;縦組;並製;252頁;△;
このあひだの『国語学』の展望号で今野真二先生が好著としてあげてらつしつたので、よんでみた。紹介ではタイトルだけ見て「辺境社会」といふのはてつきり日本のことだと思うてゐたら、副題を見れば分るやうに、居延や敦煌など北辺のフロンティアのことだつた。昔つから文書社会だつたんだなー。そして、古隷[*]のうつくしさ。
[*]隷書のうち、波磔のないものを「古隷」、あるものを「八分」といふやうですが(江守賢治[監修]・吉成八重子[書]『ことばの手帳楷行草・隷書』三省堂)、ここではそれに拘らず、単に「昔の隷書」ぐらゐの意味で用ゐています。[2000/11/20 Kさんの御指摘により訂]
;筑摩書房;¥1,600(借覧);B6判;縦組;上製;286頁;△;
;同文書院;¥1,800(借覧);B6判;縦組;上製;318頁;△;
怪奇小説にまるで親しまぬ私がこの本を手にしたのは、『活字狂想曲』(時事通信社)の著者のものだつたからである。滑稽化された私の上手。
花とゆめCOMICS;白泉社;¥390(2割引);新書判;;並製;182頁;△;
;三省堂;不明(借覧);A5判;縦横両組;上製;784頁;;
集中の舩城俊太郎「変体漢文はよめるか―『将門記』による検討―」がよんでおきたくて教育から借りてきたのだけれど、一往全ページ雑と目はとほして、(文法論を中心に)訣わからん、と思うた次第。いかんなぁ、こんな事ぢや。舩城論は、真福寺本と楊守敬旧蔵本との附訓を比較して、その相違を論拠に、峰岸明の「定訓」説を卻け、平安時代の変体漢文においても[亀井孝が古事記について述べたのと同様に――引用者注]、漢字の意味をただしくとらえて、文意をあやまらず、それらしく訓読されていれば、一つ一つの漢字は、その作者の用字意識どおりによむことを、かならずしも要求されるわけではない
(p.521.、強調原文)といふごくあたりまえ
(p.522.)のことを主張するもの。うーむ、どうなんだらうか。
万一この辺の述語や固有名にひつかかつて、うつかりここを見てしまうたアカデミックなかたの為のおまけ(「淫のひびき」と「『ザ・レイプ・オブ・南京』の研究」とのあひだの書目に注目。あと、もし国語学叢書本を譲つてくださるといふかたがいらつしつたら是非御聯絡ください)。
少年サンデーコミックス5676;小学館;¥390;新書判;;並製;188頁;△;
最終巻。まあ、こんな感じですか(←ひとりよがり)。
;アスキー;¥667;A4判;;平綴;;△+;
あー、情けないなー、男つて。(←何ですかそれは。ところで、いつぞや絓秀実が、丸山【マサ】男に、【真】でなくて【眞】をつかふ最近の傾向(かどうかも検討の餘地はあらうけれど)に関説して丸山の canonaize を危惧してゐたけれど、ならば【眞】鍋かをりはどうなのか。)
講談社学術文庫153;講談社;¥400(¥50);文庫判;縦組;並製;266頁;△;
今更こんなのよんでんぢやねえよ、といふ感じですか。まずい話の欠陥は、話自身が示しているし、聴衆はとっくに気が付いているはずです。
(pp.197-8.) 先生、きついです。
鈴木孝夫著作集3;岩波書店;¥3,500(借覧);B6判;縦組;上製;339頁;△;
;インフォバーン;;中綴;△+;
;(レンタル);VHS;カラー;ステレオ;;○;
ニナモリ。入浴。ブルマ。必見。
河出文庫;河出書房新社;¥854(¥440);文庫判;縦組;並製;334頁;△;
発売日 | 著者名 | 書名 | 文庫・コミックス名 | 本体豫価 |
---|---|---|---|---|
6 | 金子光晴 | 助平極道 | 小学館文庫 | 未定 |
6 | 橋本治 | これも男の生きる道 | ちくま文庫 | 600 |
7 | あさりよしとお | まんがサイエンス(7) | ノーラコミックスデラックス(学研) | 781 |
7 | 入江紀子 | ママの恋人(1) | 秋田コミックスエレガンス | 448 |
8 | みうらじゅん | 見ぐるしいほど愛されたい | 文春文庫 | 524 |
10 | 代々木忠 | オープン・ハート | 幻冬舎文庫 | 未定 |
11 | 小花美穂 | パートナー(3)完 | りぼんマスコットコミックス | 390 |
11 | 矢沢あい | NANA―ナナ―(2) | りぼんマスコットコミックス | 390 |
11 | 谷川史子 | 魔法を信じるかい?(1) | りぼんマスコットコミックス | 390 |
11 | 大泉実成 | 消えたマンガ家アッパー系の巻 | 新潮OH!文庫 | 600 |
11 | 大泉実成 | 消えたマンガ家ダウナー系の巻 | 新潮OH!文庫 | 543 |
11 | 日垣隆他 | サイエンス・サイトークウソの科学 騙しの技術 | 新潮OH!文庫 | 486 |
11 | 松沢呉一 | 魔羅の肖像 | 新潮OH!文庫 | 752 |
15 | 鴨居まさね | 雲の上のキスケさん(3) | YOUNG YOUコミックス | 505 |
15 | あさりよしとお | HAL(1) | GUN COMICS(ワニブックス) | 800 |
15 | 武藤禎夫校注 | 万治絵入本伊曽保物語 | 岩波文庫 | 760 |
15 | 佐竹昭広 | 萬葉集抜書 | 岩波現代文庫 | 1,200 |
20 | 鹿島茂 | パリ・世紀末パノラマ館 | 中公文庫 | 850 |
22 | 富沢ひとし | ミルククローゼット(2) | アフタヌーンKC | 505 |
22 | 養老孟司 | 身体の文学史 | 新潮文庫 | 400 |
25 | 火浦功 | 未来放浪ガルディーン(3) | 角川スニーカー文庫 | 未定 |
25 | 未定 | フリクリ(3) | 角川スニーカー文庫 | 未定 |
子安宣邦『「官長問題」とは何か』(ちくま学芸文庫)。ホントに何なのか?
夕方6時ごろ家を出て、横川シネマにサブ・カル文化人絶讃の『新しい神様』(土屋豊監督)を見にゆく。私は7時からの上映だと思ひこんでゐたのだけれど、9時からだつたので、『ざわざわ下北沢』(市川準監督)も見ることにする。学生1,500円。悪くはなかつたけれど、何だか話の筋がよくおへなかつた。一旦出て、コンビニで唐揚焼きそばパンと罐コーヒーを買うて小腹をこしらへる。『新しい神様』を見る。2本目は1,000円。“ミニスカ右翼”雨宮処凛はもてはやされてるわりには、そんなに可愛くない。中の議論も何か底が浅いし。とか思うて見てゐたけれど、1999.2.25の風呂上がりの画像の辺から印象が変りました。「雨宮処凛は私だ。」
ちくま学芸文庫;筑摩書房;¥1,200(1割引);文庫判;縦組;並製;379頁;;
;武蔵野書院;¥4,369(借覧);A5判;縦組;上製;206頁;△+;
著者の言ふ「漢字文化圏(における文字活動)を考えるときの公式」は次のやうなものだ。
┌──(b)─その(v)の漢字表記 (v)──〈(a)〉─┤ └──(c)─その(v)の漢語訳
人間の特別のときの声(p.11.)
日本上代では古事記・万葉集が(b)に、日本書紀が(c)に該当する。ほかにもこの公式から、源氏螢巻の「物語論」、新撰万葉集、楚辞などについて新たな創見を述べてゐる。興味深い一冊でした。
国文学研究資料館編原典講読セミナー[5];臨川書店;¥2,300(借覧);B6判;縦組;並製;194頁;△-;
この本自体にはそんなおおッと思ふやうなことは書いてなかつたのですが、プログラムの勉強せななぁ、と思ひました。
椎名林檎姫御誕生日。
広島駅の廣文館で「ナナ」(『クッキー』誌、集英社)をたちよみしてゐたら、となりに爺さんがやつてきて、突然「マンガ家はこんなきれいな絵をあんなに早くかいてすごいもんだ。しめきりは大変さうだが、本当に才能があるのだらう」といふやうな意味のことを云ひはじめた。何だつたのか。あさりよしとおの新連載「細腕三畳紀」(『アフタヌーン』誌、講談社)、「からくりサーカス」「改蔵」(『週刊少年サンデー』誌、小学館)を見てかへる。誰か僕の取扱説明書を見つけて早く論文モードに切換へてください。
河出文庫;河出書房新社;¥583(¥100);文庫判;縦組;並製;221頁;△;『東京の関西文』の内容を一部変更し改題
MIU COMICS;秋田書店;¥400;新書判;;並製;191頁;△;
つひに普通のコミックスが400円(消費税も一所だと、420円)になつたか。
中世史研究叢書;吉川弘文館;¥3,400(借覧);B6判;縦組;上製;342頁;△;
何かSMチックなタイトルですが、さうぢやありませんよ(←変な気をまはしすぎ)。神戸和昭[2000]「「表記史」研究十箇条」がすすめてゐたので読んでみました。
本書は、健治元年(一二七五)、紀伊国阿弖河庄上村の百姓らが、地頭の非法を庄園領主に訴えるべく認めた有名なカタカナ書き訴状、「阿弖河庄上村百姓等申状」を資料とした中世庄園史の研究書である。日本語史関係の論考にも広く目を配りながら行われた、全文の綿密な解読を踏まえて論が展開されるだけに、その指摘には十分な説得力がある。日本語史研究上からも見逃せない言及箇所も多い。ここで詳しい紹介は出来ないが、「表記史」の立場からは、特に、第三章でなされる、社会階層と識字に関する言説などが注目されるだろう。[ibid:71b]
といふのに特につけくはへられることはありません。第三章では、各所で援用されることのおほい網野善彦「日本の文字社会の特質をめぐって」(『日本論の視座』小学館)のある部分が否定されてゐて面白い。文字生活については、私も色色かんがへてみたいとは思つてゐるのだけれど。あと、和様漢文
といふことばが1頁にでてくるけれども、古文書学のはうではさう言ふんでせうか。
文春文庫;文藝春秋;¥419(2割引);文庫判;縦組;並製;230頁;△;『ホーソンの樹の下で』を改題
知的消閑の書としては上乗の出来だと思ふ。ただ、著者が、カルチャー・センター好きのひとびとに人気のマルチ(無論、耳がとんがつた機械の耳で廊下掃除をしてゐるといふ意味ではない、為念)な才能として消費されてしまふのは非常に残念だなあ、と私は思うてゐる(このマーケティングがあたつてるかどうかも分らんが)。あと、リンボウ先生にしてかくて、男は、かわいい女を抱き、山ほどの戯言睦言を口にし、やがて女の中で果てた。/さて、そこからが、男女のセクシュアリティの違いである。男が女を理解できず、女が男を恨んだりするのは、まさにこのあわいである。恋を知る男女、すべからくこのところ身に覚えがあろう。
(p.32.、下線は引用者)のやうな「すべからく」の誤用があるのを見ると(他1箇所)、「とても」や「全然」と同様に陳述副詞から程度副詞化してゐるので、もう咎めるべきぢやないのかな、とも思ふ。
;大修館書店;¥2,000(借覧);A5判;縦組;上製;191頁;△;
この本は(直段や造本からして)一般むけだと思ふのだけれど、豫備知識がないと分らないんぢやないかしら。ところで、「円」の英語表記はどうして"yen"なんでせう。字音かなづかひが「ヱン」だから? ハッ、よもや「アイウエオ/ヤユ
エオ/ワヰ于ヱヲ」といふ妙な音図(ペ17)をつくつた音義派国学者の陰謀?
;青土社;¥1,900(借覧);B6判;縦組;上製;281頁;△-;
別コミフラワーコミックス7335;小学館;¥390;新書判;;並製;189頁;△-;
1巻を買うたのは、秋の学会で名古屋にいつたときだつたから、1年ちょいまへだ。露骨に川原泉なヒロインに興味をもつて購入したのだつた。お話はさう悪くないけれど、如何せん絵がなー(とても20冊以上コミックスを出してるとは思へん)。
メディアとコミュニケーション叢書 第1巻;ひつじ書房;¥2,400(借覧);B6判;横組;並製;173頁;△;
小学館文庫;小学館;¥648;文庫判;;並製;445頁;△++;
マンガ文庫つてなんかよむの躊躇する面倒なところがないですか。この本も眞鍋かをりのグラヴィア・ムックと一緒に買うたンすけど、しばらく本棚においたままでした。よんでみると、いやあ、面白かつた。馬好きで男勝りの美人(川原泉の傑作「架空の森」を思ひ出しました。)ギネヴィアが、好きな男(というても、人間はみな「へのへのもへじ」にしか見えぬところ、リアンダだけは目鼻がついて見えるといふ程度)には平気でHなのがそそるなあ。本作の真つ当なレビューは、「青少年のための少女マンガ入門」を御参看ください。
中公文庫;中央公論社;¥660(¥200);文庫判;縦組;並製;354頁;△;
なんちふか、精精がとこ1.5流でしかないのに自分を1流だと思うてゐるところがイタイ(かがみを見るやうだ)。結局この一派は、谷沢永一『紙つぶて』(PHP文庫)を読んでおけば、充分だと思ふ。
井出手至論文集;和泉書院;¥11,500(借覧);A5判;縦組;上製;377頁;△;
萬葉集の用字・表記法研究。