若く美しかった。母の希望でもあった。
彼は堕落した。老年になる前にその過ちの罰を受けることになる。背中が曲がっていく。
激しい熱が臓腑を焼き尽くす。胃のものすごい痛みに苦しむ。
目には隈ができ、最近まであんなに澄み輝いていた瞳は、今やドロンとしている。
ひざが曲がってしまい、もはや歩くこともできなくなる。
こわい夢を見るので、よく眠れない。
歯がボロボロになり、抜け落ちる。
胸が燃えるように熱くなる。血を吐くようになる。
あんなに美しかった髪は老人のように抜け、頭がはげ上がる。
腹が減っている。空腹をなだめようとするのだが、食物は胃の中に長くは止まっていない。
胸はやせおとろえ、吐血する。
体中が膿疱でおおわれ、身ぶるいするほど不快な感じ。
高熱がゆっくりと彼を憔悴させる。衰弱し、体中が焼けつくほど熱くなる。
体中がこわばり、手足が動かなくなる。
錯乱状態となり、死が近づいてくる。体が硬直していく。
17歳で彼は、ひどい苦痛のなかで息をひきとった。
図4 1884年に出版された書物(タイトル不明)に記載されていた、あるオナニストの死に至るまでの過程を克明に書いた図だが、そのリアリズムには圧倒させる。
(Jean Stengers et Anne Van Neck: Histoire d'ure grande peur La masturbation, Institut Synthélabo, 1998, P24-25)