講談社選書メチエ395;講談社;1,500円(借覧);四六判;縦組;並製;218頁;;ISBN978-4-06-258395-4;
;塙書房;(借覧);A5判;縦組;上製;362+19頁;;ISBN978-4-8273-0107-6;
字余り現象を古代日本語の音韻的性格に基づく現象であると見る
のではなく、古代和歌の唱詠法と関わる現象であって、古代における日常言語の音韻的性格とは直接には関係がないと見る立場
をとり(p.3)、従来指摘されてきた単独母音――エによる字余り例は確かに少ないが、ないわけではない。例が少ないのは、すでに触れたように、そもそもエで始まる単語が少ないからに他ならない。それは量の問題であって、質の問題ではない。理論的に言っても、エによる字余りを除外する理由はない。(……)要するに、問題になる単独母音としては、ア・イ・ウ・オの他に、エを含めるべきなのである
(pp.25-26)――をふくみながら字余り句になつてゐないものが、短歌では第2句・第4句におほいのは、第2句・第4句は句のなかで2分されて唱詠された――切れ目の直後に単独母音がきた場合、非字余り句で問題ない――からだとしてゐるのだけれど、切れ目の認定がだうしてもアドホックな感がぬぐひきれない気がするな。あと、いはゆる日本語のリズムと本書でいふ唱詠とはだう関係するのかな、と思つてよんでたけれど、これは、ところで、本書では「唱詠」という言葉を使ってきたが、詳しく言えば、和歌に対しては音楽的な「歌唱」と音楽から離れた「律読」とがあったと思われる
(p.350)とある以降にすこしふれるところがあつた。
目次をうつしておく。
- 本書のはじめに 3
- 第一章 『万葉集』字余りの研究・序説
- 第一節 古代和歌と字余り 11
- 第二節 万葉和歌の字余りと唱詠法 35
- 第二章 短歌の字余り
- 第一節 短歌・奇数番句の字余りと訓法 55
- 第二節 短歌・偶数番句の字余りと唱詠法(上) : 〈連休修飾句+名詞句〉の構成をもつ句を中心に 89
- 第三節 短歌・偶数番句の字余りと唱詠法(中) : 二文節から成る句を中心に 113
- 第四節 短歌・偶数番句の字余りと唱詠法(下) : 短歌・偶数番句の全般を問題として 155
- 第三章 長歌・旋頭歌の字余り
- 第一節 長歌の字余りと唱詠法(上) : 五音句・結句の場合 189
- 第二節 長歌の字余りと唱詠法(下) : 七音句の場合 209
- 第三節 旋頭歌の字余りと唱詠法 235
- 第四章 [非単独母音性の字余り句]について
- 第一節 [非単独母音性の字余り句]と訓法 253
- 第二節 [非単独母音性の字余り句]と句切り 289
- 第三節 [非単独母音性の字余り句」の類型 299
- 本書のまとめとして 三四五
- 既発表論文との関係 三五七
- 後記 三六一
- 索引 巻末
角川選書421;[発行]角川学芸出版、[発売]角川グループパブリッシング;1,500円(借覧);四六判;縦組;並製;239頁;;ISBN978-4-04-703421-1;
学びのエクササイズ;ひつじ書房;1,200円(借覧);A5判;横組;並製;ix+145頁;;ISBN978-4-89476-394-4;
目次をうつしておく。
- 文法を考えるということ iii
- 第1章 文学科の星野です 1
- 1.1 コンテクストに応じて 1
- 1.2 「は」と「が」は同じか 3
- 第2章 私はアップルジュースです 9
- 2.1 「私はアップルジュースです」は誤用か 9
- 2.2 「AはBだ」文の文脈・状況依存度 12
- 2.3 「AはBだ」以外の形式にうなぎ文はあるか 14
- 第3章 ティラノサウルスは前足が短い 17
- 3.1 「…が…が…」文は誤用か 17
- 3.2 「はが」文は広く「がが」文は狭い 21
- 第4章 お庭がきれいでいらっしやいますね 27
- 4.1 尊敬語の文とはどのようなものか 27
- 4.2 背後の所有者を高める文 29
- 4.3 許容度の高い所有者敬語文とは 31
- 第5章 これから発表させていただきます 37
- 5.1 謙譲語の文とはどのようなものか 37
- 5.2 「~させていただく」の成り立ち 39
- 5.3 「~(さ)せていただく」文の許容度 41
- 5.4 「~(さ)せていただく」は変化している? 44
- 第6章 明け方飛び起きた音 47
- 6.1 内の関係と外の関係 47
- 6.2 結びつきのしくみ① : 役割パズル型 50
- 6.3 結びつきのしくみ② : のりしろ型 51
- 6.4 結びつきのしくみ③ : かみ砕き型 53
- 6.5 その他にも : ①②③の組み合わせ 54
- 第7章 それにしてもなんだね 57
- 7.1 先取り発話 57
- 7.2 ことがらの成否・蓋然性の判断を予測させる表現 58
- 7.3 ことがらについての評価を予測させる表現 59
- 7.4 相手の発話内容に対する発話者の考えを予測させる表現 60
- 7.5 話題転換時に用いられる「ていうか」 64
- 第8章 日本を休もう 67
- 8.1 規範からの意図的な逸脱 67
- 8.2 「AがBをC」型文 70
- 8.3 1つの単語が2つの意味類に 71
- 第9章 新作映画を先に借りられちやった! 77
- 9.1 受動文① : 役割パズル型 78
- 9.2 受動文② : のりしろ型 79
- 9.3 受動文②に共通する意味 80
- 9.4 なぜ迷惑の意味が付随するのか 83
- 第10章 ジョーカーが来た? 87
- 10.1 「行く」と「来る」 87
- 10.2 「くれる」「やる(あげる)」 92
- 第11章 銅メダルとかとっちやって! 97
- 11.1 「とか」の基本的な用法 : ①一部例示 97
- 11.2 「とか」の基本的な用法 : ②断定回避 100
- 11.3 「とか」の評価的卓立提示の用法 101
- 11.4 他の例示用法に見られる評価的卓立提示の用法 104
- 第12章 あ、バスが来た! 107
- 12.1 事柄の時の意味 107
- 12.2 「―る」と「―だ」 109
- 12.3 現在の出来事なのに「タ形」 : ①開始の「タ」 110
- 12.4 現在の出来事なのに「タ形」 : ②認識改めの「タ」 113
- 第13章 「とても子どもらしい」と「どうも子どもらしい」 117
- 13.1 2つの「らしい」 117
- 13.2 述語部分の要素の順番 121
- 13.3 述語部分の意味的な階層構造 123
- 第14章 彼は悲しい! 127
- 14.1 感情の表現 127
- 14.2 表現の時・出来事の時 130
- 14.3 物語文における「タ形」と「ル形」 131
- 文献案内 137
- 引用文献 141
- 索引 143
シリーズ方言学1;岩波書店;3,400円(借覧);A5判;横組;上製;xix+222頁;;ISBN978-4-00-027117-2;
目次をうつしておく。
- 方言形成論への誘い : 「シリーズ方言学」の世界 / 小林隆(こばやし・たかし) v
- 新しい方言学へ,ようこそ
- 方言形成論と方言学
- 方言形成をとらえる二つの軸
- 内的変化と接触変化
- 新しい視点と方法
- さらなる課題
- 第1章 方言形成における中央語の再生 / 小林隆 1
- 1.1 はじめに 1
- 1.2 「再生」という視点 1
- (a) 方言周圏論への疑問 1
- (b) 「再生」とは何か 3
- 1.3 再生論の射程 4
- (a) 方言周圏論の見直し 4
- (b) 伝播論と自律変化論の融合 6
- (c) 地域差研究から地域性研究への展開 7
- 1.4 再生の姿とメカニズム 8
- (a) 再生の種類 9
- (i) 形態の変化
- 短縮
- 省略
- 変形
- 合成
- 改造
- 活用の変化
- (ii) 意味の変化
- 拡張
- 縮小
- 交替
- 変質
- 対人化
- (iii) 品詞の変化
- 文法化
- 副詞化
- 用言化
- (b) 再生の要因 13
- (i) 言語的要因
- 自律的変化
- 言語的創造性
- 体系性・規則性
- 基層語
- 言語的嗜好性
- (ii) 自然的要因
- (iii) 社会的要因
- 中央的規範力
- 都市型社会化
- 中央規範と都市化の関係
- 社会組織・制度
- (c) 再生の地理的性質 19
- (i) 再生の地域差
- 東西差
- 周圏的対応
- 地域レベルの差
- (ii) 再生の中心
- 東西日本の再生基地
- 段階的再生
- 多元的再生
- (d) 再生の時間的性質 23
- 再生の時代性
- 再生形式の普及速度
- 1.5 再生の進行過程 24
- (a) 再生の東西差と時間差 24
- (b) 「サ」の類の再生 25
- (c) 九州方言再考 27
- (i) ひとつの仮説
- (ii) 分析の観点と資料
- 地理的分布状況から
- 地理的変異と世代的変異の状況から
- (d) 地理的分布状況から 28
- (i) 短縮化の過程
- (ii) 短縮化と格助詞化
- (e) 地理的変異と世代的変異の状況から 33
- (i) グロットグラム調査
- (ii) 短縮化と格助詞化
- 短縮化
- 格助詞化
- (iii) 意味拡張
- (f) 結論 37
- 1.6 再生論の課題 39
- (a) 言語分野の特性と再生との関連 39
- (b) 中央における変化との対比 40
- (c) 方言形成の全体像の中で 40
- 参考文献 41
- 第2章 内的変化による方言の誕生 / 木部暢子(きべ・のぶこ) 43
- 2.1 はじめに 43
- 2.2 内的変化とは 43
- (a) 内的変化と外的変化(接触変化) 43
- (b) 内的変化の発生のプロセス 46
- 2.3 音韻における内的変化 48
- (a) 音韻の誕生 : 音韻の増加 48
- (b) 音韻の統合・消滅 : 音韻の減少 51
- (c) 音価の変化 : 音韻の増減を伴わない変化 52
- (d) 変化の相対年代 52
- 2.4 アクセントにおける内的変化 58
- (a) アクセントの諸要素の整理 59
- (b) トーンの変化 61
- (c) 核の変化 61
- (d) トーンから核へ,核からトーンへ 64
- (e) トーンの消失,核の消失 65
- 2.5 諸方言アクセントの形成過程試論 66
- (a) 整理すべき問題 66
- (b) 東北アクセントと九州アクセントの形成過程 67
- (c) 現代京都アクセントと東京アクセントの形成過程 72
- (d) 複合語のアクセント規則 74
- (e) 諸方言アクセントの形成過程 75
- (f) 無型への道 76
- 参考文献 78
- 第3章 接触度化から見た方言の形成 / 高橋顕志(たかはし・けんじ) 83
- 3.1 はじめに 83
- (a) 言語接触 83
- (b) 分節・引き当て 84
- (c) 単語登録 85
- 3.2 変異種の発生 86
- (a) 不完全な伝承 87
- [ア] 誤った引き当て1 : 同音語による牽引
- [イ] 誤った引き当て2 : 類音語による牽引
- [ウ] 誤った分節
- [エ] ハング・アップ~創造
- (b) 不完全な伝播 92
- ① 同義衝突
- [オ] 勝利と敗北1 : 伝播の完成
- [カ] 勝利と敗北2 : 伝播の失敗
- [キ] 妥協1(言語形式上) : 混淆
- [ク] 妥協2(場面上・意味上) : 棲み分け
- ② 同音衝突
- [ケ] 勝利と敗北1 : 伝播の完成
- [コ] 勝利と敗北2 : 伝播の失敗
- [サ] 妥協1 : 同音異義語として共存
- [シ] 妥協2 : 一音多義語として共存
- ③ 類音語による牽引 : [ス] 民衆語源
- ④ 類義語による牽引 : [セ] 民衆カテゴライズ
- (c) 変異種発生の原因 105
- ① 言語外的抵抗
- ② 言語内的抵抗
- 3.3 方言状態の形成 108
- (a) 中央部における変異種の発生 109
- (b) 周辺部への伝播 110
- ① 受信者側の抵抗が弱い場合
- ② 受信者側の抵抗が強い場合
- (1) 拒否
- (2) 在来の言語(体系)による改変
- (c) 地域独自の変異種発生 112
- (d) 絶え間なき接触・絶え間なき変容 113
- ① 地域的拡大
- ② 限定的分布
- ③ 空からの伝播
- (e) 外的変化の連鎖 115
- ① 物の移動による外的変化の連鎖
- ② 時代の変化による外的変化の連鎖
- 3.4 おわりに 119
- 参考文献 120
- 第4章 アジアの中の日本語方言 / 安部清哉(あべ・せーや) 123
- 4.1 アジアの言語を「地域差」「方言」から見る研究 123
- (a) はじめに : 日本語の「方言」をアジアの方言の中で見ることの意義 123
- (b) 日本語方言の基層としての「モンスーン・アジア」 124
- (c) アジア・環太平洋の中で比較する日本語方言 128
- (d) 日本語の方言分布パタンとMAの方言分布パタン 130
- (e) MAの言語・方言の中で日本語方言を考えていく意義 132
- (f) アジアの言語史研究・文化史研究への寄与 133
- 4.2 アジアの言語・方言と日本語方言の比較 : 視点と方法 134
- (a) はじめに : 従来の日本語方言の位置付け 134
- (b) 比較の視点の相違 : 方言学と言語学 135
- 語彙
- 音韻
- アクセント
- 文法
- (c) 比較方法 : 方言単位での地理的類型的研究 139
- (d) 比較のための地理的類型の視点 144
- (1) 方言区画論
- (2) 全国方言分布パタンの類型
- (3) 方言境界線の類型
- (e) アジアと関連する地理的類型 147
- 4.3 「南北方言境界線」と日本語方言の南北区画 147
- (a) 日本語方言とアジアにおける南北方言境界線の諸相 147
- (b) 日本語南北方言の音韻とアジア方言との共通性 150
- (c) 日本語南北方言の文法とアジアの地域差との類似性 151
- (d) アジアの中の日本語方言南北区画と出雲方言分化 153
- 4.4 日本語ABA型方言分布とアジアとの関係 155
- (a)日本語方言のABA型分布(関東境界型)の諸相 155
- (b) ABA型(関東型)方言の特徴と日本語の新旧比較 157
- (c) アジアの中の「糸」の方言「カナ―ソ―イト」 159
- 4.5 おわりに 162
- 参考文献 163
- 第5章 方言形成研究の方法としてのシミュレーション / 熊谷康雄(くまがい・やすお) 169
- 5.1 はじめに 169
- 5.2 方言形成研究の方法としてのシミュレーションに関する先行研究 171
- (a) 情報の空間的拡散に関する確率論的モデル 171
- (b) 情報の空間的拡散に関する確率論的モデルの方言研究への応用 174
- (c) セルオートマトンとエージェントベースシミュレーション 177
- (d) Nettleによる方言の発生に関するシミュレーション研究 178
- (i) シミュレーションにおける社会の構造
- (ii) 個体における言語の学習とノイズレート
- (iii) 言語的な多様性を測る方法
- (iv) グループの孤立と学習におけるランダムなノイズ
- (v) より現実的な社会構造 : 他グループへの個体の移住
- (vi) 社会的選択
- (vii) 機能的選択
- (viii) 離散的言語項目の場合
- (ix) Nettleのシミュレーションの結果の要約
- (e) Nettleのシミュレーション研究に続く研究 185
- (f) Nettleをめぐるシミュレーション研究の比較 189
- 5.3 方言形成に関する古典的議論の再検討 191
- (a) 方言形成に関する古典的な議論 191
- (b) 方言孤立変遷論と楳垣実の論の再検討 192
- (c) 楳垣実の論 195
- (I) ことばを使う個人が引き起こす変化
- (II) 制約
- (III) ことばの機能の差
- (IV) 違った面に結果が現れてくる
- (d) 楳垣実の論における規範と保守性 200
- (e) 小林好日の社会規範と言語 201
- 5.4 改めて問題を考える 204
- (a) 方言形成における社会的な要因 204
- (b) 楳垣実の論における音韻と語彙の違いとNettleのシミュレーション 205
- (c) 小林隆の方言形成モデル 208
- 5.5 おわりに 212
- 参考文献 214
- 索引 217
メモ。マティソフは,シナ・チベット語は,当初,子音と母音が整然と配列された,声調(tone)もピッチ(pitch)もない単一音調の音節言語であったとし,それが,後代に語頭または語末の子音の音韻対立の消滅の「代償」として声調の対立が生じたとする
(p.142)。
堀切直人コレクション3;右文書院;(借覧);四六判;縦組;並製;iii+261頁;;ISBN978-4-8421-0709-7;
;インスクリプト;(借覧);四六判;縦組;上製;269頁;;ISBN978-4-900997-17-2;
うーん。
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