笠間叢書373;笠間書院;(借覧);A5判;縦組;上製;iv+692+3頁;;ISBN978-4-305-10373-4;
一定の修練を受けた研究者なら、新資料に遭遇すれば、それ相当の確実な成果を導入するのは、それほど困難な営為ではないはずである。研究者の力量が問われるのは、古い時代から無数の読者を獲得してきた古典文学を対象に、周辺資料に依拠するのではなく、それを深く読み込む行為を通して、皆の納得できる新見解、新解釈を提示しうるかどうかにおいてであろう。
最近の中世文学研究は、神社・仏閣などの秘庫から発掘した、文学作品とは思えない文献を対象とした研究が隆盛な状況にある。その種の資料の紹介、解明が、中世文学の成立の周縁を照らし出すという意義を認めるのに吝かではない。けれども、研究者自身、その種の文献の追究に知的好奇心を喚起することはあっても、果して、その資料の言説に触れ、魂を揺さぶられるような感銘を受けているのか、その心音が読み手に影響してくるような論考がすくない。
文春文庫[よ-9-2];文藝春秋;447円(100円);文庫判;縦組;並製;348頁;;ISBN4-16-749102-8;
合掌。
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