;勉誠出版;(借覧);A5判;縦組;上製;6+338+18頁;;ISBN978-4-585-03184-0;
目次をうつしておく。
- まえがき (1)
- なぜ、いま「訓読」論か / 中村春作(なかむら・しゅんさく) 1
- 一 ある文化研究者の嘆き
- 二 「訓読」を論じることは何を論じることか
- 三 「訓読」論を「開い」ていくこと
- 四 本書の構成について
- 第I部 異文化理解の「課題」としての訓読
- 「訓読」の思想史 : 〈文化の翻訳〉の課題として / 中村春作 17
- 一 〈文化の翻訳〉という課題
- 二 問題化された「漢語」と「和語」
- 三 近代日本の「漢字・漢文」問題
- 四 転換点として在った徂徠「古文辞学」
- 五 徂徠「古文辞学」と「訓読」へのまなざし
- 六 徂徠学における難題
- 七 徂徠学の「方法」のその後
- 八 「訓読」の変質、精密化 : 宇野明霞と皆川淇園の場合
- 九 「漢文」の「国文」化
- 十 『六諭衍義』招来の経緯
- 十一 『六諭衍義』刊行に至る〈文化の翻訳〉の重奏
- 十二 徂徠加点本『六諭衍義』の特徴と「ルビ」の発生
- 十三 荻生徂徠の「問い」と私たち : 徂徠を「読む」ということ
- 近代における「漢文直読」論の由緒と行方 : 重野・青木・倉石をめぐる思想状況 / 陶徳民(タオ・デミン) 49
- 一 重野における「正則漢学」の構想 #「漢学宜しく正則一科を設け少年秀才を選み清国に留学せしむべき論説」
- 二 青木・倉石における「訓読排斥」の論調
- 三 青木論文の掲載延期と論題改題の背景
- 四 「発言自粛」を促された倉石の行方
- 五 おわりに
- ピジン・クレオール語としての「訓読」 / 高津孝(たかつ・たかし) 87
- 一 他者の言語
- 二 訓読の風景
- 三 ピジン・クレオール語
- 四 ピジン・クレオール研究の展開
- 五 ピジン・クレオール語の特徴
- 六 音声言語としての訓読
- ベトナムの「訓読」と日本の「訓読」 : 「漢文文化圏」の多様性 / 岩月純一(いわつき・じゅんいち) 105
- はじめに
- 一 ベトナムにおける「漢文」と「自言語」との交錯関係
- 二 漢文読解のプロセス
- 三 漢文テクストの諸相
- 四 「訓読」の内包と外延
- おわりに
- 第II部 訓読と日本語・日本文化の形成
- 日本における訓点資料の展開 : 主として音読の視点から / 沼本克明(ぬもと・かつあき) 123
- 一 訓点資料研究の概要
- 二 訓点資料による日本漢字音の研究
- 1、仏書訓読資料の字音
- a 呉音を主とするもの
- b 漢音を使用したもの
- 2、仏書音読資料の字音
- a 呉音読資料
- b 漢音読資料
- 3、漢籍訓読資料の字音
- 4、漢籍音読資料の字音
- 三 日本呉音と日本漢音
- 1、日本呉音の特徴
- a 呉音の音韻体系
- b 呉音の声調体系
- 2、日本漢音の特徴
- a 中古音・秦音との対照
- b 漢音の声調体系を手掛りとした漢音の重層性
- 四 訓点資料としての梵語音資料
- 1、平安初期以後の梵語音の学習 : 悉曇学
- 2、日本語表記史の展開
- 五 宋音と朱子学導入以後の訓点資料の展開
- 近世における漢文訓読法の変遷と一斎点 / 齋藤文俊(さいとー・ふみとし) 151
- はじめに
- 一 江戸時代における漢文訓読の流れ
- 二 一斎点の特徴
- ① 「則」
- ② 「而」
- ③ 「雖」
- ④ 「コト」
- ⑤ 過去完了の助動詞を用いない
- ⑥ 使役形式
- ⑦ 「於」「乎」などを直接読む
- 三 一斎点の影響
- 四 一斎点の訓読原理
- 付 口語訳としての訓読法
- 漢文訓読体と敬語 / 前田勉(まえだ・つとむ) 171
- 一 はじめに
- 二 江戸時代の候文体
- 三 漢文訓読のなかの敬語
- 四 江戸時代の漢文訓読体のなかの敬語
- ① 聖賢への敬語
- ② 長上(父・君)への敬語
- ③ 日本の歴史上の人物(天皇・将軍など)
- ④ 超越者への敬語
- 五 幕末建白書
- 六 明治期の漢文訓読体の意義
- 国語施策と訓点語学 / 山東功(さんとー・いさお) 201
- 一 はじめに
- 二 訓読研究と訓点語学の成立
- 三 漢文教育と訓読
- 四 国語施策と訓読研究
- 五 国語施策と訓点語学 : おわりにかえて
- 第III部 訓読論の地平
- 〈訓読〉問題と古文辞学 : 荻生徂徠をめぐって / 田尻祐一郎(たじり・ゆーいちろー) 221
- はじめに
- 戦前の研究史
- 吉川幸次郎「徂徠学案」
- 一 『訓訳示蒙』と『訳文筌蹄』
- 1、『訓訳示蒙』
- 「訳文ノ学」
- 「和訓」の弊害
- 訳文の形
- 2、『訳文筌蹄』
- 「題言十則」
- 「読書不如看書」
- 二 古文辞学
- 1、『学則』
- 2、『徂徠集』
- 「辞」の発見
- 「古言」への沈潜
- むすびに代えて
- 表現文法の代用品としての漢文訓読 / 加藤徹(かとー・とーる) 261
- 二人の志士の漢詩
- 漢作文のメソッド
- やわらかい訓読とかたい訓読
- 日尾荊山の主張
- 表現文法としての漢文訓読
- むすび
- 日本漢文の訓読とその将来 / 小島毅(こじま・つよし) 277
- はじめに
- 一 鞭声粛々
- 二 霜満軍営
- 三 トキンバ
- 四 徂徠対陽明
- むすびにかえて
- 漢文訓読の現象学 : 文言資料読解の現場から / 市來津由彦(いちき・つゆひこ) 295
- 一 研究技法としての漢文訓読法のいま
- 一―一 訓読法を用いる分野、課題
- ① 日本学研究世界
- ② 中国学研究世界
- 一―二 九十年代からの研究環境の変化
- 二 漢文訓読の作業過程とその技法の特色
- 二―一 文言と白話
- 二―二 漢文訓読の作業過程
- 漢文訓読の作業過程
- i 単語の認定
- ii 語順解析
- iii 送り仮名
- iv 書き下し文の作成
- v 現代日本語翻訳文の作成
- 二―三 漢文訓読法の技術的特色
- ① 書き下し文における原文漢字(=漢語)の保存
- ② 原文語順(構文構造)の解析の重視
- ③ 書き下し文の共有
- 三 「文言」表記文の機能と漢文訓読法
- 三―一 中国「文言」文章文化の特質
- 三―二 唐前半期の文章文化のあり方
- 三―三 日本における漢文訓読法の形成
- 三―四 日本古代における中国文化世界認識の偏りの可能性
- 三―五 宋元における中国文章文化世界の更新
- 三―六 日本語表記世界の展開 : 漢字・仮名文字使用の棲み分けと文物受容フィルター
- 四 これからの研究技法としての漢文訓読
- 四―一 日本学分野における研究技法としての漢文訓読法
- 四―二 中国学分野における研究技法としての漢文訓読法
- 二つのアプローチ : 中国語直読及び講釈による理解と漢文訓読法による理解
- 中国語直読及び講釈による理解の特質
- 日本語漢文訓読法による理解の特質
- 漢文訓読法の使用と通して立ち上がる研究世界
- あとがき 333
- 執筆者一覧 336
- 人名索引 左1
- 書名(論文名)索引 左8
田尻、前田論文をおもしろくよんだ。
連休あけの平日の朝つぱらから映画とかみてるのは自分ぐらいかなー、と思つてたら、女子高生くらゐの女の子2人組、をばさんの2人組がゐて、予告篇がすんだくらゐで、さらに3、4人はひつてきた。作品は、たんに若い女の子がたくさん出てゐるといふ以上にすばらしくて、一日いい気分だつた。
NHKブックス[987];日本放送出版協会;(借覧);B6判;縦組;並製;278頁;;ISBN4-14-001987-5;
薩戒記の除目聞書の作名の紹介(形骸化する人事、といふ見出し)のあと、様式化する除目、といふ見出しのところの記事がちよつと気になつたのでメモ(p.181)。
このような架空の人名をみると、慣れない人はやはり怪訝に感じたらしい。『師守記』の貞治二年(一三六三)閏正月の記事に、鎌倉公方として関東を掌握していた足利基氏(尊氏の息子)のところに県召除目の聞書を送ろうとしたことがみえる。ところが幕府側の使節が、「除目に不思議の異名候、一本仮名をあそばしつけられたまうべし」と願ったという。使節が目をつけたのは「常陸目 五百木部繁季」「大和権守 調弾弦」の二つで、聞いたことのない珍しい名前だから、ぜひ読みがなをつけてほしいとたのんできたのである。
もちろんどちらも樹木と楽器にひっかけた語呂あわせである。『師守記』記主の中原師守は、それぞれの名の推薦者(もちろん書類上だけの形式的なもの)に問いあわせ、前者には「いおきべしげすえ」、後者には「つきのただお」とふりがなをつけて関東に送った。ただしこれらの名前を推薦した者の答えも、「読みがななんていわれても、特別な言い伝えがあるわけではありません。私の推測で書いておきますね。武家から聞かれたというけれど、そんなことを知りたがるのはいったいだれですか」と、いたって無責任である。
わたしには、不幸せになるってことが、どうにも信じられなくて、ただぼんやり、途方にくれている……。今にもワーッと叫ぶか、バカなことをしでかしそうだ……、と口にするところが、とくに印象的だつた。
PingURL :