ワインレッドのドレス。ベッドにあふむけで眠つてゐるところをうへから。
中公文庫[こ-6-7];中央公論社;563円(250円);文庫判;縦組;並製;282頁;;ISBN4-12-202026-3;
;河出書房新社;9,515円(3,500円);A5判;縦組;上製;680頁;;ISBN4-309-00935-2;
ちよつと内容の重複がおほくも感じるけど、おもしろくよんだ。桃尻語訳の印税の10分の1はパテント料として本書の著者にしはらはれてゐるとか、古典の批判的処置に関する研究の第二部第五章「文献批判の規準」の中、第二節「心理学的規準」の項と、その例証としての第十五章「日本古典作品に於ける本文転化の諸類型とその実例」に関する、一切の考案と調査・執筆を委
(p.152)されたのだとか。目次をうつしておく。
- 第一部 緒論 学問する者の心構え十七条
- 一 学問とは、解釈の実践とその方法論の追求とである 13
- 二 解釈の基礎となる観察と、観察の原動力としての飽くことのない好奇心(求知心) 16
- 三 経験は疑問に答え、疑問は経験を素早くキャッチする 18
- 四 解釈には常識の涵養が肝要。「犬も歩けば棒に当る」(一) 21
- 五 雑務の処理と精神衛生。「時は命なり」「軽きを先にし、重きを後にす」 26
- 六 目的と手段とを顛倒すべからず。「ミイラ取りがミイラとならず」「自分の頸にしっかりと鈴をつけ得る猫となれ」 30
- 七 徒弟制度の是非。「自分のことは自分でせよ」「急がば廻れ」「他人の所為にするな」 35
- 八 徒弟制度の活用 42
- 九 共同研究の是非。学際間の交流をこそ 48
- 十 自他の所説の区分を明確にせよ。思考のプロセスを明らかにする為に。まして他人の所説を歪めて引用するのは甚だ迷惑 51
- 十一 剽窃・盗用は論外、孫引きも学究としての資格放棄。人文科学にもパテントを認めて基礎学に人材を集中すべし 67
- 十二 当面の研究課題の他に不純な目的を夾雑すべからず。「二兎を逐う者一兎をも得ず」 77
- 十三 他説を否定し、それに替えて新たに自説を提示しようとする時には、他説を否定するのに用いた証拠・論理を先ず自説に適用して、その当否を験試し、猶且つ、他説の論旨を可能な限り弁護して然る後に、肯定否定の態度を決すべし。「脚下照顧」「他人のふり見て我がふり直せ」(一) 82
- 十四 「初心忘るべからず」「ゼロからの出発」。常に、前人未踏の処女地に足を踏み入れるパイオニア精神を忘れるな。正論は常に少数意見に始まる 90
- 十五 研究者は、自己の研究作業が一定段階に達して、何らか独自の結論を措定し得た時には、間髪を容れず、同一課題に就いての先人の業績を参看して、自説を厳密に反省吟味せよ。自信が過信であってはならぬ。「他山ノ石、以テ玉ヲ攻クベシ」(一) 95
- 十六 即戦即決。鉄は熱いうちに打つもの。明日ありと思うな 100
- 十七 本質と現象・演繹と帰納・普遍と特殊・相対と絶対・綜合と分析・巨視と微視・全体と個体、一見両極に位置するものの帰一するところに真理あり。―同心円理論―学問の目的は、要するに自己の人間形成にある 104
- 第二部 本文学序説
- 一 諸学の基礎科学としての文献学 109
- 二 文献学の命題 112
- 三 文献学の対象規定=本文学の提唱 114
- 四 本文学の二面性 117
- 五 本文学の二段階 118
- 六 本文学の目的と書誌学 121
- 七 書誌学の対象規定=書籍学の提唱 122
- 八 本文批判と本文解釈との先後如何。「糾エル縄ノ如シ」 123
- 九 疑文は異文を生じ、異文は疑文の存在を標示する 132
- 十 本文解釈の結論は、同時に本文批判の高部批判の結論となる 137
- 十一 「注釈」と「解釈」とを区別すべし 144
- 第三部 本文解釈学実践の心構え
- 一 日本の古典を対象として本文解釈学の方法論を構築することの奇妙な利点。「艱難汝ヲ玉ニス」「窄き門より入れ」 151
- 二 解釈者は、古典の本文との間に余人をまじえぬ一対一の対決を心掛けよ。驚く勿れ「未詳」の孫引き 171
- 三 本文解釈の基本的な姿勢を獲得するのに最も有効で速成の方法は、古写本を影写することによって、本文を出来るだけゆっくり、一字一字を辿って遅読する能力を身につけることである。「影写一遍意オノズカラ通ズ」 181
- 四 本文の読解は、徒歩の旅。遅読による問題点の発掘 187
- 五 本文を復読反拠せよ。健忘症は禁物。日本人は今少し執念深くなれ 193
- 六 個は孤ならず。「必ズ隣リ(旁証)アリ」 200
- 七 本文解釈のプロセス。本質としての実体と現象としてのコトバ 208
- 八 解釈者は、古典成立の現代即ち古代当時に参入すべし。ゴー・ビハインド 212
- 九 本文解釈の次元的段階 219
- 十 問題意識あってこその古典解釈 228
- 十一 本文解釈の最終的決算報告書としての現代語訳 246
- 十二 疑文の発見。異注統合は必要か? 260
- 十三 解釈者は、自己の本文解釈が一つの結論に達した時には、必ず先人の注釈を参照して、自己批判を怠るな。「他人のふり見て我がふり直せ」(二)「他山ノ石、以テ玉ヲ攻クベシ」(二) 267
- 十四 国文学者の古典口訳文には、何故に死語翻訳が多いか。社会的外圧と研究意欲の内圧とのアンバランス 271
- 十五 本文解釈に従事する者の嫌忌。教科書・受験参考書の編纂と受験予備校・学習塾の授業 281
- 十六 本文学者は古書を尊重すべし。されど私蔵すべからず 283
- 十七 索引使用の時機 289
- 十八 古語辞典使用に際しての用意 296
- 十九 用例解釈の限界(一)。循環論証の危険 312
- 二十 用例解釈の限界(二)。「葭の髄から天覗く」 320
- 二十一 資料調査は虱潰しの総浚え。「犬も歩けば棒に当る」(二) 326
- 二十二 漢文資料は白文で。一個の文字への注目 332
- 二十三 本文解釈の結果に対する験試法(一)。「再演出法」 337
- 二十四 本文解釈の結果に対する験試法(二)。「古文還訳法」 345
- 第四部 対照法解釈の方法と諸規準の適用
- 一 対照法解釈の根本理念 355
- 二 対照法解釈の前段処理 365
- 三 対照法解釈の低部段階と高部段階。その各段階に用意すべき対照諸規準の分類 367
- 四 語義的規準の適用 371
- 五 語脈的規準の適用 388
- 六 修辞的規準(口誦効果を含む)の適用 402
- 七 文脈的規準の適用 432
- 八 構文的規準の適用 451
- 九 空間的規準の適用 469
- 十 時間的規準の適用 482
- 十一 論理的規準の適用 494
- 十二 心理的規準の適用 511
- 十三 構想的規準の適用 528
- 十四 主題的規準の適用 543
- 十五 物理的規準の適用 555
- 十六 歴史的規準の適用 570
- 十七 個性的規準の適用 621
- 十八 本文解釈における巨視的観点と微視的観察 632
- 十九 脚色・虚構のあるところに主題の露頭を見出だす 638
- 二十 アルヘティープス(宗本)における本文誤謬の処理 649
- 二十一 原作者の原手記オリギナール(祖本)における本文誤謬の処理 656
- 二十二 短詩型文学における対照法解釈の限界性 663
- おわりに (付)萩谷朴、本文解釈に関連する著書論文 671
;笠間書院;1,900円(2割引);四六判;縦組;上製;4+216頁;;ISBN978-4-305-70390-3;
目次をうつしておく。
- プロローグ 「うた」を素材にした「歌」が昇華して和歌となる 001
- 第一章 難波宮から出土した「歌木簡」 015
- 七世紀中頃に「歌」を一字一音式で書きあらわしていた物証
- 「歌」の「習書」ではなく清書
- 「歌木簡」の提案
- 「難波津の歌」木簡の一部が「歌木簡」
- 「歌木簡」の様式はどこまで貫徹されていたか
- 難波宮木簡の字句の内容
- この木簡の用途は何だったのか
- 第二章 紫香楽宮跡から出土した「両面歌木簡」 043
- 1. 表裏に「難波津の歌」「安積山の歌」が書かれた木簡
- 「あさかやまの歌」木簡の発見
- 『万葉集』の和歌と同じ歌句が書かれている
- 流動する歌句の一つの形が歌集、物語にとりあげられる
- 『万葉集』とは異なる表記形態
- どのような事情で書かれ使われた木簡か
- 「歌」の作法の手本
- 2. 「難波津の歌」「安積山の歌」は「歌」の手本だった
- 『古今和歌集』仮名序の記述中の両歌
- 「てならふ」とは歌の書き方の習得だった
- 「書き方」は「詠み方」につながる
- うたのちち「難波津の歌」うたのはは「安積山の歌」
- 第三章 典礼の席でうたう「歌」 067
- 1. 律令官人は職務として「歌」をつくり書いた
- 「歌」が公のものとして朝廷に位置付いていた
- 天武朝の「歌」政策
- 「うた」から典礼向けの「歌」へ
- 2. 中国の「楽府」と日本の「歌」
- 典礼で「歌」い「舞」い「奏」する
- 事務官が「歌」い「舞」う
- 典礼でうたつために「歌」をつくるならわし
- 「歌」から和歌へ : 漢詩の影響
- 第四章 出土物に書かれた「歌」たち 093
- 1. 出土した「難波津の歌」たち
- 「難波津の歌」木簡の特徴
- 七世紀末から八世紀初頭
- 八世紀前半
- 八世紀後半から九世紀
- 平安時代にもうたわれた
- 土器に「難波津の歌」を墨書または線刻したもの
- 「なには」と書いただけでわかるほど普及していた
- 2. 出土した「歌」たち「うた」たち
- 七世紀の万葉仮名表記の典型
- 歌句を書いた木簡たち
- 「歌」は一字一音式で書かれた
- 例外的に一字一音式でない「歌」たち
- 一字一音式で書いたのは口頭でうたうため
- 第五章 観音寺遺跡から出土した「難波津の歌」木簡の価値 115
- 予想できた「発見」
- はじめ日本語の韻文はどのように表記されたか
- 今私たちがみる『万葉集』は原本ではない
- 一字一音式が先行したと考えなければ物証に合わない
- 次々に繰り出される言いつくろい
- 見る目をもってすなおに物をみつめよう
- 古代の地方と東アジアとのつながり
- 第六章 「歌」の記録と和歌の表記 137
- 1. 「歌」をうたう場と記録
- 官人たちは職務として「歌」をうたい筆録した
- うたわれた「歌」の表記を精錬して歌集に収める
- 「褻」の一字一音式「晴」の訓字主体表記
- 2. 漢字で「歌」を書くとき和歌を書くとき
- 漢字の用法と書記方法の整備状況
- 目で見て楽しむ迂回的表記
- 漢詩の表現を和歌に取り入れる
- 文字の文学
- 訓よみを使って書くと歌句の意味と発音とがあらわされる
- 文字情報を歌意の表現に参加させる
- 付属語の文字化は事態・情意の表現のために行われた
- 第七章 五重塔の天井に書かれた「難波津の歌」と和歌 161
- 寺院の材に「歌」を書いた動機
- 醍醐寺五重塔の天井板にも和歌が書かれていた
- 法隆寺と醍醐寺の事例の共通点と相違点 : 歌集とは別の「歌」の世界
- 第八章 典礼の場から文学サロンへ、そして贈答歌へ 173
- 典礼向けの「歌」の様式で個人向けにうたう
- 個人向けの「歌」を書いた木簡
- 歌句は文脈と場面のなかで意味をもつ
- 「うた」水準のものがなぜ木簡に書かれたのか
- 再び醍醐寺五重塔の天井板の歌句について
- 十世紀、流布していた和歌が歌集にひろい上げられる
- 第九章 「難波津の歌」の世界と『万葉集』の世界 191
- 「難波津の歌」はどのようにうたわれたか
- 文学作品としての和歌の創造
- 公の「歌」、私の和歌
- 典礼で「難波津の歌」をうたい、自宅で「『万葉集』」を読む
- 後書 204
- 付録 207
- 本書で言及する資料に関する年表
- 主な木簡出土地図
- 著者名索引(左開)
- キーワード索引(左開)
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