;慶應義塾大学出版会;(借覧);四六判;縦組;上製;4+viii+301+6頁;;ISBN4-7664-1170-6;
福沢の「演説」をめぐつて丁寧にまとめられてゐる印象。図版も沢山あつて興味深い(161頁の「巧言令色亦是禮」とある福沢筆の書幅を、キャプションにも本文にも、巧言令色是亦礼
、とあやまつてゐる)。
前島密の「漢字御廃止之議」について、伝えられるような将軍への建議が実際にあったのかについては若干の疑問があるようである
、として野口武彦が参照されてゐるけど、一説として言及の必要はあるのかなあ(この「疑問」については、漢字御廃止之議 - Wikipediaに詳しい。ちなみに私は飯田晴巳『明治を生きる群像―近代日本語の成立―』で知りました)。この件については阿久澤論文と独立に、池田証寿「漢字というものの現在[連載第5回] 前島密「漢字御廃止之議」存疑」(『季刊d/sign』no.5)が検討してゐて、小冊子以前にすでに「中外新聞」第11号(明治2年4月26日)に建白書の紹介があること、「東京茗渓会雑誌」への掲載が小冊子へとまとめられたのであらうこと、大槻文彦書入れの経緯の推測などが論述されてゐる。
Wikipediaの「ノート」で、転載ではないかとうたがはれてゐるけれど、すくなくとも最後の1文は、安田論文の注6の一部とほぼ同文。『脱「日本語」への視座 近代日本言語史再考II』所収のものと比較して示すと以下のとほり。
| Wikipedia | 安田論文 |
|---|---|
| この点について、野口の見解は史料的に不十分であること、そして事後的に手を加えた可能性もあるが、前島の言明は大筋で認められるのではないかということを、さまざまな原史料にあたって考察したものに、阿久澤佳之『前島来輔『漢字御廃止之議』の成立問題』(立正大学文学部史学科卒業論文、1999年)がある。 | この点について、野口の見解は資料的に不十分であること、そして事後的な加筆の可能性もあるが、前島の言明はおおすじでみとめられるのではないかということを、さまざまな原資料にあたって考察したものに、阿久澤佳之『前島来輔『漢字御廃止之議』の成立問題』立正大学文学部史学科一九九九年度卒業論文(逓信総合博物館にて閲覧可)がある。 |
池田論文への引用を見ると、強調した異同のうち「に手を加えた」「大筋で認め」は、安田論文も初出ではWikipediaと同形だつた模様。
新潮文庫[ほ-11-2];新潮社;400円(15円);文庫判;縦組;並製;247頁;;ISBN4-10-144922-8;
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