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四十八 數寄
スキ好の「スキ」に數寄を宛つるは、漢語の數奇に想ひ寄せて、其の奇の字にウ冠を加ふる増畫の古習にて「數寄」といふ字は成れるなり。
四十九 達、駄目、段袋
「押シ立チ強ヒテ」の義に「タツテ」といふは「立ツテ」なるを、「達而」など書くは候文の習なり。複數の接尾語「タチ」に「達」を宛つるは其の呉音を假りたるなり。「先達而」は「先立ツテ」の假借なるが、登山其の他の案内者を「先達」といふは其の道の先達の士といふ義にて正字なり。之を「先立」の音讀と誤り思ふべからず。(出立を出立といふは先達などより惡しく聯想せる誤なるべし)
徒事・徒勞を無駄といひ又駄目といふ、「無」の字誤用にやなども思ひ惑はるれど、實は「駄」の字より始めて解せられざるなり。徒空を「ムナ」といひ「ムダ」といふに無駄の音を假り、「ムダ目」の上を略してダメといふは圍碁の術語なり。又「段袋」は「駄荷袋」の義なりといふ説然るべし。「駄」は國訓化して「荷」とも相熟するなり。
五十 丁度、鳥渡
「チヤント」の「チヤン」の長音に變じて「チヤウド」となれる固有形容語なり。字を見て丁度鳥渡など假名を用うべからず。「一寸」は「一時」の省畫にて「寸」にはあらず、亦「チヨト」「チヨツト」といふ形容語に宛てたり。「チヤクト」「チヤツト」などいふを「イチ逸ク」の轉訛なりなどいふ説の非なるは、我が聲貌形容語に思ひ至らば、容易に悟り知るべし。
五十一 手傳、徳利
手傳にて幇助することに解すべきか、諺草に「迭代」といふ字を出せるは出處を知らざれども、むげに捨てがたし。迭代はカタミガハリの音讀語にて、やがて助の義ともなること「手傳」よりは心得易し。「徳利」といふ字も語も何時代よりありや調べ得ざるが、此も諺草に「陶器」と出せり。「陶器ノ銚子」の義にて、陶の一音トウと器を鬼貴などゝ等しく「クヰ」といひ、「トウクヰ」より「トクリ」などゝ變じたるか、醒睡笑の土工李は假名がきに過ぎざるべし。此の二語は研究を進めば、音を訓(又は訓に近きもの)に假りたる例にならんも知るべからず。
五十二 兎角、篤と、到頭、時計、頓と
「トカク」は彼此、左右などの義の固有語なり。「トクト談合」などいふ「トク」は「トツクリ」などの形容語なるべし。「トウ〳〵」を「到頭」と書く人近來特に多きは皆漢意なり、「トヾ」「トヽ」「ドヾ」などの長音となれる「トウ〳〵」にて、即「遂ニ」の別語なる「トウ〳〵」と全然同じ。此について思ひ出づるは警蹕制止などの「ドウ」と「シ」となり。「動」「止」を宛てて意義反動なりなど昔より言ひ來れる、皆漢字毒の所爲なり。時計を「ジケイ」と讀まざるは不審なり。大に俗化したる讀方にや。「斗雞」といふ音を「時計」に宛てたるなりとの説は如何あらむ。「頓ト」も字音にはあらじ。
とくなが・ひろし(徳永洋);2005/1;横井小楠 維新の青写真を描いた男;
新潮新書101;新潮社;680円(借覧);新書判;縦組;並製;205頁;;ISBN4-10-610101-7;
「堯舜民主政」の印象がつよかつたのだけれど、「西洋器械」のひとだつたのだなあ。
あさば・みちあき(浅羽通明);2005/5;教養としてのロースクール小論文;
;早稲田経営出版;2,000円(2割引);A5判;縦組;並製;12+428+xx頁;;ISBN4-8471-1897-9;
こーだんしゃぶんげーぶんこ(講談社文芸文庫)[編];2003/6;戦後短篇小説再発見12 男と女――青春・恋愛;
講談社文芸文庫[こ J13];講談社;950円(借覧);文庫判;縦組;並製;247頁;;ISBN4-06-198335-0;[著者]のま・ひろし(野間宏)/いしざか・よーじろー(石坂洋次郎)/かわさき・ちょーたろー(川崎長太郎)/はらだ・やすこ(原田康子)/ふくだ・しょーじ(福田章二)/みうら・てつお(三浦哲郎)/かわばた・やすなり(川端康成)/から・じゅーろー(唐十郎)/むこーだ・くにこ(向田邦子)/みずかみ・つとむ(水上勉)/みき・たく(三木卓)
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