the view from nowhere : 2005-08-03 (Wed)

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三矢重松「宛字」(15)

四十八 數寄

スキ好の「スキ」に數寄を宛つるは、漢語の數奇に想ひ寄せて、其の奇の字にウ冠を加ふる増畫の古習にて「數寄」といふ字は成れるなり。

四十九 達、駄目、段袋

「押シ立チ強ヒテ」の義に「タツテ」といふは「立ツテ」なるを、「達而」など書くは候文の習なり。複數の接尾語「タチ」に「達」を宛つるは其の呉音を假りたるなり。「先達而サキダツテ」は「先立ツテ」の假借なるが、登山其の他の案内者を「先達センダチ」といふは其の道の先達の士といふ義にて正字なり。之を「先立サキダチ」の音讀と誤り思ふべからず。(出立イデタチ出立シユツタツといふは先達などより惡しく聯想せる誤なるべし)

徒事・徒勞を無駄といひ又駄目といふ、「無」の字誤用にやなども思ひ惑はるれど、實は「駄」の字より始めて解せられざるなり。徒空を「ムナ」といひ「ムダ」といふに無駄の音を假り、「ムダ目」の上を略してダメといふは圍碁の術語なり。又「段袋ダンブクロ」は「駄荷ダニ袋」の義なりといふ説然るべし。「駄」は國訓化して「」とも相熟するなり。

五十 丁度、鳥渡

「チヤント」の「チヤン」の長音に變じて「チヤウド」となれる固有形容語なり。字を見てチヤウテウ渡など假名を用うべからず。「一寸」は「一時」の省畫にて「スン」にはあらず、亦「チヨト」「チヨツト」といふ形容語に宛てたり。「チヤクト」「チヤツト」などいふを「イチハヤク」の轉訛なりなどいふ説の非なるは、我が聲貌形容語に思ひ至らば、容易に悟り知るべし。

五十一 手傳、徳利

手傳テツダヒにて幇助することに解すべきか、諺草に「迭代テツダイ」といふ字を出せるは出處を知らざれども、むげに捨てがたし。迭代はカタミガハリの音讀語にて、やがて助の義ともなること「手傳」よりは心得易し。「徳利」といふ字も語も何時代よりありや調べ得ざるが、此も諺草に「陶器」と出せり。「陶器ノ銚子」の義にて、タウの一音トウとクヰクヰなどゝ等しく「クヰ」といひ、「トウクヰ」より「トクリ」などゝ變じたるか、醒睡笑の土工李トクリは假名がきに過ぎざるべし。此の二語は研究を進めば、音を訓(又は訓に近きもの)に假りたる例にならんも知るべからず。

五十二 兎角、篤と、到頭、時計、頓と

「トカク」は彼此トカク左右トカクなどの義の固有語なり。「トクト談合」などいふ「トク」は「トツクリ」などの形容語なるべし。「トウ〳〵」を「到頭タウトウ」と書く人近來特に多きは皆漢意なり、「トヾ」「トヽ」「ドヾ」などの長音となれる「トウ〳〵」にて、即「遂ニ」の別語なる「トウ〳〵」と全然同じ。此について思ひ出づるは警蹕制止などの「ドウ」と「シ」となり。「動」「止」を宛てて意義反動なりなど昔より言ひ來れる、皆漢字毒の所爲なり。時計を「ジケイ」と讀まざるは不審なり。大に俗化したる讀方にや。「斗雞トケイ」といふ音を「時計」に宛てたるなりとの説は如何あらむ。「トント」も字音にはあらじ。

とくなが・ひろし(徳永洋);2005/1;横井小楠 維新の青写真を描いた男;

新潮新書101;新潮社;680円(借覧);新書判;縦組;並製;205頁;;ISBN4-10-610101-7;

「堯舜民主政」の印象がつよかつたのだけれど、「西洋器械」のひとだつたのだなあ。

あさば・みちあき(浅羽通明);2005/5;教養としてのロースクール小論文;

;早稲田経営出版;2,000円(2割引);A5判;縦組;並製;12+428+xx頁;;ISBN4-8471-1897-9;

こーだんしゃぶんげーぶんこ(講談社文芸文庫)[編];2003/6;戦後短篇小説再発見12 男と女――青春・恋愛;

講談社文芸文庫[こ J13];講談社;950円(借覧);文庫判;縦組;並製;247頁;;ISBN4-06-198335-0;[著者]のま・ひろし(野間宏)/いしざか・よーじろー(石坂洋次郎)/かわさき・ちょーたろー(川崎長太郎)/はらだ・やすこ(原田康子)/ふくだ・しょーじ(福田章二)/みうら・てつお(三浦哲郎)/かわばた・やすなり(川端康成)/から・じゅーろー(唐十郎)/むこーだ・くにこ(向田邦子)/みずかみ・つとむ(水上勉)/みき・たく(三木卓)

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