呑氣など書き、又
の腑の字、解すべからず。或は天賦の賦にもあるべきかとも思へども、甲斐ナシにて事足りたる語なるより考ふれば、「不」の字にて二重打消の語にもあるべし、「
答へ得ずして口を閉ぢて屈服する義に通ずれど、平降といふ字も八幡愚童訓に見えて捨てがたし。又閉口は十訓抄に見えたれば新しき字にはあらず。されど俗に屈服を降參といふ如く、平降の方その義廣く、閉口は狹ければ、平降の字正しかるべし。
は
「
通ずるが如くなれど、語の歴史は濫妨にて、鎌倉時代に他の所領を濫に妨ぐるを稱せし語なり。其の後には亂防などいふ字もあれど尚非なり。
和訓栞に、「立羽の字にて鳥の羽をのすに比したる詞なりといへり。されど立派の音なるべし、一派を立つるといふと同じ意なり」といへるは受けられず。扶桑略記に『延文四年十月廿五日行㆓幸圓宗寺㆒始修㆓二會八講㆒有㆓因明論義㆒問者云立㆓破眞僞㆒无㆑過㆓因明㆒』とあり,法然上人繪詞「凡立破の道は先所破の義をよく〳〵心得てこそ破する習なるに云々」とあり、空海秘藏寳鑰に「今造㆓諸論疏㆒者皆破㆑他立㆑自」などあれば、破他立自の論法のあざやかなるを言ふより出でたる語にて立破を本字とす。右は俚言集覽に梅園日記稿を引きて載せたる所なれど、一般の人の爲に此に掲ぐ。なほ平家物語宗論(秘句とて普通本になし)の中に、『成佛遲速の立破には云々』といふ語ありてあざやかなる義に用ゐたり。此の立破を長門本には「流派」と書き、肝文の卷及植木氏本には「リツハ」と假名に記せるを見れば、昔は之を「リウハ」とも言ひしなり。
横着とは何の義ならん、東京地方にて「オーヂャク」とて、濁る處あり、もしは
「暢気」の項で「暖と同字なり」と書いてゐるのは、口偏に旁が「而」のしたに「大」の字(さういへば、めゆがまへ
つてなにから採取したんだろ)。
新潮OH!文庫108;新潮社;562円(100円);文庫判;縦組;並製;286頁;;ISBN4-10-290108-6;「怪しい人びと」改題
「ちくま」(8月号)もらふ。
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