三輪の山は古事によりて杉を神木とするより杉といふなりもりくる月の影なきは眞闇の意なり〈杉枕は杉木にて製したるなるべし透枕にて彫透しあるかとおもへと清濁たかへはさにはあらし〉上の語は何者と問かけたる語にて是によりて何曾といふなり下なるはそれを解たること葉なり以下皆同じば一々いはず准へてしるべし
赤石浦は播磨國なるよりはりまと解き月すまずは暗きことにて播磨暗と解きたりさて張枕革にても紙にてもはりたる枕なり
解しがたし夢はおどろくは覺ることにて聞ゆれど瀧のひびきをあいといふに思ひよる事なし又あいさめといふ物もいかなる物にかしらず鮫の皮の一種などにかゝる名あるにや
ゆきの下のきの字とけ去ればゆの一字となるをみづの上のみの字にそへてゆみと解きたるなり
四句まで春夏秋冬にて四季なり下くゞる水は川の意なり花楓氷などは下くゞるといふべき爲の景物なり合せて四季川と解たるなり
一咋日咋日今日にて三日の意なり月日をもをがまぬはくらき意にて三日暗と解たるなり
此歌は伊勢物語にも新勅撰集にも出て業事朝臣の古歌なるをそのまゝにて用ひたるはいと〳〵おもしろしおもふことをえいはずしてやむを
いの字はなしといふ意にて明なりさていはなしといふ物は水氣すくなく堅きを今木梨といふ是ならむといふ人もありされどおのれは今世にけんぼなしといふ物なるべしとおもふなり訛りてはてんぽ梨子ともいふ白かねのけんぽなしと鉢かつぎの物語にも見えたれば今の俗言のみにもあらず
先の折れてうせたる假名の意にて刄の折れ缺けたる銫の事と解たるなり今|假名といふはもと假名なるを音便にてかんなといひしをつゞまりてかなとなれるなり
假字を
いちごは覆盆子いはなしは前にいへるごとくともに小き果なりいちごのいの字無ければちごと解たりちごは乳子の意にて今いふ乳のみ子といふが如くこれをもとにてやや大やかになれるをも童形なるをちごといふは後世に轉じたるなり
さいは妻なり夜を專にして寐に侍る意にてとのいする者の意に解たるなりとのいは御殿のうちに寐ぬる事にて男女をいはず俗にいふとまり番なりそれが着て寐べき夜具の類をとのい物といふなり者は人の意物は服器の意にて異なるをいづれをもものといふによりて何曾に解たる詮あり同じ事としては何曾になりがたし
やぶれたる蚊帳には蚊入ると解たるなり蛙はもとかへるなれども通はしてかひるともいふを後世はすべてはひふへほをわゐうゑをのことゝいふ例に訛り來りてその上ゐといともかなはたがへども後世は口にいふ所混じたればかいるともかきたるなり
水は湯にては無しの意にて解たるなりさてゆでなしといふ物はさはし柿の如く梨をも湯にてゆでゝ熟せぬを早く熟する事ありてそれをゆで梨と云なるべし
目あきはめくらに對していふ語にて目あれば物を見る意目くらは物を見ずといふ意にて見を前におき見ずを後におきて合せて見みずと解たるなり
塵は無しといへば掃たる歟と思ふ意にて俗言のまゝ音便に掃た歟と解たりさてはいたかは鶽にてはやぶさともいふ物鳥を取るに速ければ速鷹の意なるを轉じてはい鷹ともいへり
田は稻の籾を蒔く地なれば籾地の意にて紅葉と解たるなり
いろは假字の第一の頭にいの字あれば假名頭の意にて魚の名の鐵頭といふものなりと解たるなり
君恩の莫大なるは士を扶持すべき領地を多く賜へるなりされば扶特高の意にて器物の
人さすむしは蜂の意なれども七日にまはるを尺と解たる意考へがたくしひて思ふに僧などの托鉢を七日毎にまはる意にて錫といふ意か又は田地などに物を
海中の蛙といふ如くおもはせたる詞なるを十二支の卯巳の間は辰なりそれを反る意にてつたとなれは
母は齒々の意父は乳の意にて上唇と下齒下唇と上齒とあふは二度なり我乳はわが唇のとゞかぬ物なれば一度もあはぬ意にて唇と解たるなり是ら變じたる體の何曾にていとおもしろし
三位中將は平重衡なり此卿奈良の大佛殿を燒給へりし事平家物語源平盛衰記などに見ゆされば終に討れ給ふは奈良の佛火を掛給ひし罸ならむとの意にて奈良火鉢と解たるなりその比奈良の鑄物師の作れる火鉢を賞してかくいひけるなり春日燈籠大和風爐南都諸白奈良漬などの類稱なり
四季のさきは春なり春は花に逢ふ時の意なり鬼の字音きなれば合せて花逢鬼と解たるなり花扇といふ物は七月七日近衞殿より禁中に奉り給ふものなり
花の山の花をのけてみれば山なりはゝそのもりも柞をのくればもりのみ殘るを合せて山もりと解たるなりの木を
梅といふ字の木篇を三水にかへて見れば海となるなり氵はもと水の字なり此故に篆にはかくの如きを横に略してかくして又省きて氵としたるかたち三の字に似たるより三水といふ
鷹の字の鳥をとりのけて心の字ある時は應の字となるなり
嵐の字の山を去れば風なり軒の字の篇は車なり合せて風車と解たり
山鳥を合すれば島の字なり此字無くて竹生の二字を合すれば笙となるなり
道風の二字のうちみちといふ字をのくれば風となる此上に山といふ字を書けば嵐となるなりみちのく紙は中古の名産なり今も漉出す此名を
みやづかへといふべきを二句をいはむ爲にみやづかひとかよはしていへれど是は少ししひごとなり此語のうちかひの二字無くまたみの字をも捨ればやつとなるなりしはをさかさまによめばはしとなるを合せてやつはしと解たるなり
人のむすめは姫子の意なり下句は待つ意にて合せてひめこまつと解たるなり初句と三句は詞つゞきに形容をそへたるまで何曾の主意にかゝはらず此類他にありなずらへて知るべし
もろこしの社は唐神の意なり身をきよむるは精進の意なり精進障子ともにしやうじともさうじともいへば合せてからかみさうしと解たるなりさて此ものは今からかみとのみいふは略語なりふすまといふはもと
秋の田の露おもきは稻の穗の垂るさまにて穗垂の意にて螢と解たるなり
ゆきの二字消ればきとなるにたえせぬは常の意にて合せてきつねなり
一本に人まつよひのとあるかたよしすなはち人の來る間の意なりうたゝ寐はやどる意なり合せてくるまやどりと解たり車やどりは武家の駒繋の如く車より人の下りてまつ間引入れておく舍をいふなり
上の字の下の畫は一なり下の字の上畫も同じ母の字の中腹をつらぬき通じたるも子の字の肩に引たるも皆同じく一の字なりかくさま〴〵にいふも何曾の一格なり是をかねては一の字四つなりなどいふはたとへなどの例をひろくしらぬ誤なり
刀は片名の意にて保昌のほうの稱のみをとる日の字を長く引て書くは月といふ字なり合せてほうづきなり酸漿はもとほゝづきなれども此ころは今もひとしくほうづきといひしなり刀に樋を彫ることを缺くといへるにや又その意はなくても有べし
しちくは紫竹と聞ゆるやうにいひて意は七九なり此數の間は八なりうぐひすの尾ばかりはすの字なり合せてはちすと解たるなり
らふそくのさきはらの字なりたひの中へらの字をくはへて盥なり
上の字の上は卜下の字の下も卜の字なり前の一の字と解たるに同じ意なり
櫻は花なり花とのみいへば櫻のことなるはいにしへよりのならはしなり所々にひらくは
人といふ字を裏より見れば入となる昔をかたるは舊を
ねりいとは今いふねりぐりのことなりこれの眞むすびにしまりたるはほゝけてうるはしうはときがたき物なれば心をひそめてする意より
一本には内侍の上のきぬ藏人の下襲とありて此方まさりてきこゆないしの上をのくればしとなるとのゝ上はとの字なり是をかさぬればとゝとなる合せてしとゝなり一本くらうとの下をかきぬれば是もとゝとなりて同じ
雙六の語にていへりむかしはすぐろくをうつといへり今ふるといふは語いやし中々にいやしき博奕には今もうつといへりさてきとは俗にきッとゝ引つめていへり此きとの二字をうちかへせばときとなる釆の目九ッは
一本には歌のせんもなしとあり此方まさりて聞ゆきせんのうたといふうちを歌のせんといふ語無ければきの字のみ殘れり秋の月の云々は古今集の序の詞にていひて眞暗の意なり合せて木枕と解たるなり
火をともすはあかりなり御入候へは人を請じ入る詞にて合せてあかりしやうじと解たるなり
月のはじめ前日にありて翌日月のをはりなるは逆なれば逆月の意にて盃のことゝ解たるなり
十里の道は二五里の意なりけさを
一本に家うつりのあしたともあり意同じ家わたりは往初の意なり朝はけさの意なりつらねてすみぞめのけさと解たるなり因言今の俗には翌日をあした前夜をゆふべといへどそは轉じたるにてもとあしたいふべは朝夕のことなり
風まつはすゞむ意なり房主は師の意なり法師を略して古くよりかくいへり合せてすゞむしと解たり房主の房は居所にて庵主などいふと同義なり今坊主と書くは誤なり坊は町街の名にて僧には由もなき字なり
ほうるは投の意なり房主は前に同じく合せてなげしと解たるなり
逢議の意にてあふきと解たるなり議は事を言ひはかるなり
歴然はまさに明なる意にて報いぬと解たりぬは畢たる意にて既に事濟たるなり或人いふ因果とのみにて聞ゆべし歴然は不用の語なりといふてにをはにくらき故なり因果とのみにてはむくいにはよけれどぬの字さだかならぬなり
あはせ戸の意にて解たるなり是らは興うすし
四里かゝりの意なり物を爲竟ぬを今も爲かゝりといふことゝいまだ四里におよばざる意にて三里半をかけたるなりよりかゝりは脇側といふ類をいふなり
夕まとひは宵まとひともいふくるゝをまたで寐むとする人をいふにてまた日の明きほどより寐る意にて明寐を茜の意に見て解たるなり
なぞはもとかういふは何ぞと問かくる語にてつひに此わざの名になりたりさて此ことをするをなぞたてといひけるなり今はかういふ語をさへ知る人なくなりたり料理の獻だてちからわざするを腕だて行列の供だてなどいふ同じさてなぞたては解を專とする意なり十三は九と四と合せたる數にてつらねてときくしと解たるなり
天狗は魔の意なり古てんぐにて古魔と解たるなり此解たるこまは駒か狛かいづれにてもたがはず
血しほは手負の意痛手を負ひて血出る意なるべけれどちしほとのみいひたるは少し言たらずきこゆ手覆はもとておほひなれどつゞめてかくもいへばておひと解たり
こよみは日毎によしあしを記せれば日書の意にて火掻と解たり火掻は今十能といふ物なり十能の名何の意より出たるかいまだ考へず十の能ありなどいひならべたる説十能の字よりおしあてに空説をいへるにて論にたらずもしは燒嚢などいひしを訛りてしうのうといへるにや
天雲か雨雲かいづれにても日をかくす意にて解たるなり日がくしは庇の事にてひさしはもと日障の意なり元來軒の副葺をいふ名なれどもその下の間をもひさしの間とも日かくしの間ともいひ又間といふことをはぶきて清凉殿の南ひさしなどいひて席をいふ事ともなりたり
川風は水を吹く意にて水蕗と解たり一種の水菜の名なり蕗といふ名は莖の中通りて空ありて切て吹けば息の通ふ草をいへるにて常の
竹の中の雨はやぶさめなり雨をさめといふは上の語よりたゞちにつく時は春雨
泉の字水無ければ白となるりうをかへりてよめばうりとなるを合せて白うりと解たるなりかけたる語よりづゞきてしかも思ひよらぬ物に解なされて面白し
此なぞ心得がたし群書類從の本にかし山からげとあるはらの字を山と誤れるなること一本にてしられたれどかしらからげといふ物別にあるにやしらずはち卷かしらからげなることはいはでもしるければそれのみにてはなぞにはなりがたしもし元結やうの物か
のゝ字を中へいれてゆきを上下にわくれば柚の木とゝかれたり
わこせは吾御前なり男より妻などにいふ語なり俗にわごりよともいふ吾御寮にて意は同じそふは夫婦配遇の意なり此春ばかりにて夏より別るゝ意夏妻
よひを下よりかへせばひよとなるをかさねていへるなりひよ〳〵は鳴聲より出で雛鳥をいふ名なり俗にひよ子といふも意は同じ聲とのみ思ひてはわろしなぞをときたる語はみな體の物ある名目の例なればなり
御前に侍るは御用を待つ意にて解たり御用はごよう五葉はゴエフにてかなはたがひたれど後世はすべて音聲亂れて同じさまに口にいへばかよひて聞ゆるなり
ゆるりは圍爐なり風ふけば灰のたつよりはひたてと解たるなり
柚の酸は實にあり皮ばかりにて酸味を取去たる意にて炭斗と解たるなり
火鉢の二字の下のみははちなりすみの頭字はすなり合せてはちすと解たり
引退かんとする氣質見ゆる意にて臼の挽木と解たるなり
思といふ字の上なきは心となる佛のとく法は經なり合せて心經と解きたり
狩に犬なきは鷹ばかりの意なり尺は俗に物さし又鐵にてつくるよりかねざしなどもいへどいにしへはたかばかりといへり丈量の意なり因にいふかねさしは鯨尺に對して鐵尺なりとの意通例なれども又思ふに曲尺は寸尺を量るのみならず曲か直角の方正をも訂し又裏面には正角の斜をも示したれば兼用ふる意にて兼尺といふより出しも知がたし
老男は尉の意なり袖をひろげてたちまはるは舞ふさまなり合せて尉舞ふを燒亡の意にかよはし解るなりかなたがひの事は前にいふ如し尉は音いにてしようの音にはあらぬを署官の八省の丞の字の音より出で判官をすべてシヨウといふより四衞府の判官の尉をもよみ來れりさて尉の字に老男の意もなきをかくいへるは亂舞の式三番にあとの尉いろの黒き尉などいふはたゞ名をさゝず人官もていふ稱なるをその假面皆老人の容なるよりつひに尉といふを老人の稱の如く心得誤たるひが事ながらはやく此なぞの比もさやうのかたにていへるなり
鬼燈はもとほゝづきなるをほうと引て轉じたりそれを頬づきの意にて目さがりと解るにや頬は目より下に下りたる所なるよしなり目放りよとおもへどさては頬にかぎらぬとなりこの意ならばあまりおもしろからぬかたなり猶解ざまあるにやしらず
十三は九四の數を合せたるなりひだるいは餓鬼の意にて合せて串柿と解たるなり
海のみちは濱の意なり十里にたらぬは九里なり合せて濱ぐりと解たるなり
なにゝてもうるしの有合せたる時には塗りて置けと命ずる意にて解たり塗桶は埿土にて製し素燒にして黒漆をぬりて綿つむ具なり
いかにそのやうには酒に醉たるぞととがめたる意にてそのよしの答をもし解たるもなぞの一種なり強てすゝめたる故にと答たる意にてしひたけといふは此けの辭西國邊にては今も語の末にけにとそへていふ關東江戸などにても行たりを行たつけ來たりを來たつけなどいふ意也轉じて決着の時におしはかる時にもいへどまづはやゝうたがひてさたかならぬ意をふくみたり又そのわざその故といふ所にも何々の
かきの二聲の間にさゝを入るればかさゝぎとなるなり
みやまぢやといふうちのみやまかくるればちやの二字のこるうすもみぢのもみぢちりてあとかた無ければうすの二字のこるを上と合せてちやうすとなるなり
ふくろうのくろう無ければふとなる耳づくみゝ無ければづくとなるをかしは笑ふざまにて笑といふ意なり笑顏なきいふゑと同じ合せてふづくゑと解たるなり
神をすべて上の意として宇佐くまのいせすみよしの四ツの上の聲をあつめてつゞくればうぐいすと解るゝなりひといとかなはたがへど上にもいふが如く後世口稱みたれたればかよへり
此何曾うまくは解得がたし輿は舁くものなればかきうちの意か又は
にくさにさりぬは離縁の意にて
よせ手は城などへせめよせたる軍陣にてひが事は無理の意なれば城方の理なりといふ意にてじやうりと解たるなり今の世草履のことを女わらべなをはじやうりといふこれなり此ごろよりはやくかくもいひけるなり
ふづくゑの上はふの字なり源氏物語の第九巻めは須磨の卷なればあはせてふすまと解たるなり衾は夜具の類をいふ名なり此なぞも問かけたる語よくつゞきて解く意もおもしろし
鹿をさして馬といひしは秦の世の趙高が威を試たる故事にてあまりなるしら〴〵しきたがひの世のたとへにいひならひたれば譬喩の意にて馬ひゆと解たるなり莧は野菜にあり馬とそへていふはそれに似てやゝ異なるをいふ稱也
ゆめをかへせばめゆとなる宵過れば日となれば合せてめゆひと解たるなり目結といふは今いふ
さしぬきの語すそ損じたるは下をはぶく事にてさしとなるかへり花ははなの二字かへることにいひなしてなはとなるを合せてさしなはと解たるなり
古さとにかへりは又ゆく意にて又旅といふ語に見て解たるなり木天蓼は古くはわたゝびといひしかど後には今の如くまたゝびともいふなり
木の上に廿人の字をそふれば茶の字となるなり但此何曾は古くも茶の事を艸人木などいへどめづらしからぬかたなり
此なぞ解しがたし此ごろの諺など又きんかんは三ツくはぬ物なりなどいふ事のありもやしけむさらば二四の意にてきんかんは二ツか四ツかくふをならひとするなるべし今世俗に香のものなどを三切を身切の聲に聞ゆるをいみて二きれならざれば四きれもる事などある類なるべしさて解たるにしは西の意か赤
せんざいは前栽にて後園に對したる名にて南おもての艸木をうゑたる庭にて今もつぼのうちなどいふ書院の前庭なりやぶれはその破壞して艸木も無きをいひて無し壺と解きたるなり梨壺は禁中五舍のうちの一舍にて昭陽舍といふ
鉢の中ときこゆるやうにいひて意は八の中なり海藻は和布なり八を二ツにわけて四々の中にめをいるゝ故にしめじとなるなりしめじは
つゆの下を除けばつとなるはぎのはを散失すればぎとなる合せてつきと解きたるなり下をのぞくを霜置しときこゆるやうにつらねて上下の意通じたるかけ辭歌の下句のしらべになりていとよく月ととかでも同じ秋の景物にて此なぞおもしろし
ふろの間に句をいるればふくろと解るゝなり連歌は句の事ときかせたるなり
しほといふ語八ッあれば八しほなりゆふがほは
おもては戀の歌にいひなしてそれといひ出しより心をつくして物思ひをする身なるがいつより逢はしむるやうになりて戀しき人の心もうちとけゆくならむといふ意なりさていひそめを糸にて結びはじむる意にたとへ逢そめを藍染ときかせ染たる上に解く意なり三句盡すはこと〴〵くの意にて目づくしと解きたるなり目といふは鹿子絞なる事前の目結の條にいふが如し目盡は一面にひまなく目結したるにて俗に今
ひとつくうしといふ語の中をとくうの三聲を退けて見ればひつじと解くなり人つく牛に出あひて危ぶければ疾退べしといふ意にて疾くうといふはくの音を引ていへばくうとなる故にきこえぬ語にはあらず古くも詩歌をしいか
かりはひがことは
ひつじのつの字無ければひしとなる仙人の乘物は鶴の意にて合せて菱鶴で解きたり菱鶴は織物の文の名なり
つまどのまの字より上へ反ればまつとなるなり
ゆきの間にま入ればゆまきとなる參はまゐるにているとかなはたがへど例の後世のならはしなりかけ詞かくつゞきてきこゆ湯卷はもと湯に入る時女の前あらはならぬやうにこしに卷たるよりの名にて常はまかずかりそめなる故に今も紐はなきを本義とすつひに紐をつけて二幅といひて常に下袴のかはりとすることと轉じたれども名はもとのよゝにていひ又湯具ともいふ湯文字といふは女詞の例にて子を文字肴をさもじ目見を目もじなどいふ例なり髮をかもじといふを又一轉して今は副髮の事となりたり此類もなほ多し
かどの間にらいの二聲を入るればからいとゝなるなり雷の字音らいなればなり唐糸の名はもと舶舶{ハク}來の糸より出でつひに一種の糸の名となりたり此例は唐衣唐猫からくれなゐなどの如く必しも異國の物にかぎらすやゝ常に異なるをいふ稱なり
御手洗川は神社近きほとりの川をいふ賀茂社にては則加茂川をいへり伊勢物語に戀せじとみたらし川にせしみそぎ神はうけずもなりにける哉此歌の詞にてかけたるなりみたらしのみをそぎ捨ればたらしと解るゝなりたらしは弓の事なり但此なぞはかけ詞のいひさまはよくて解たる所は詮うすしみの字をはぶかずみたらしといひても弓の事ともなればなりみは
京中は五條の意夜あけたるは今朝の意にて五條にけさ參るさまにて解たるなり此なぞ五條を京中といふならばよけれど京中といひては地名多くひろきを五條とのみきかせんは少し荒凉なるいひさまなり
春は農人の田を鋤かへす時なればたすきと解たるなり
田舍邊鄙の人の語は
脊のうしろは腹なり駒のすみそだつ所は牧なり合せてはらまきと解たり
魚とる鳥は鵜なり物忘は
ゑのころは犬なり湯洗ひは
五輪の下は墓なりばけものは魔の意にてはかまと解たるなり或人いふ五輪にて墓はきこえて下といふ事は長物ならずや答ていふそは今世に石塔婆をやがて墓といふ物と心得たる誤なり石塔は石塔婆なり又塚とも墳ともいふ墓なり猶くはしくいはゞ五輪とのみにては地水火風空の事にて石塔婆卒都婆のみの事ならねば五輪の塔の下ともいふべきなれどそは世にいひなれたるまゝにてわづらはしくはいはぬながら下のといへるにて此頃までは今の如くは心得誤らざりしこと知らるゝなり
稚子のわけなく物をほしがりてくひて取るさまの詞にて子
けいせいは遊女なり功をつみて手だれの業あるをこつちやうといへりこはよく人の心をまどはす意を古狐の人を魅すにたとへ古狐は頂の毛兀たるよりして兀頃といふ戯語にてその中にも第一の功者の意にて一兀頂一越調と解たるなれとやとゝいふにて一の意をふくめたる意知りがたしおもふにやとは宿驛などにゐる遊女にてそは普通の所のけいせいよりも旅中多くの人にも馴れて轉變速なればことに眞情は無くして誑惑すこと多き故なるべしけいせいの名は一咲傾城などの語より出たり此稱宇治拾遺物語にけいせいと寐たる夜など見えたるは正しく遊女の事なりたゞ美色をさしていふとはやゝ異なり
さゝをわけて中にしかを入るればさしかさと解くなりさしかさとはたゞちに着る笠あるに對しての名なり
やうじの上にちをつくればちやうじとなるなり
山がらの山はなるればからとなるに去年今年は四季ふたつなれば
三十六町さきは一里なりふくろうのなく聲はウホウときこゆるなり蔀も遣戸も物のさかひにありて際の意なりたまらずは破れ損じたる意なりつらねて見れば一里ウホウ際破れと解くなりさて此語何の意か今世にてはきかぬ語なるを考ふるにむかしの神祭の練物風流の囃辭なるべし一流はくさ〳〵の中の一種の風流の意ほうさいは報賽か報祭かの意にてもと祈願成就の御謝の爲出せる意なるべしやれははやし辭なりほうさい念佛といふ事も古記に見えたるが此ほうさいも前に同意にて佛恩報賽の意なり是を法齋といふ僧又は法西寺といふより爲はじめたる故などいふは附會の説なり狂亂の者を笑ふにきちがひよほうさいよと古くいふも狂人の
是は此何曾一部の中の難物にていかにも解きかたしもしは此解はこしきにてはなく解たる語を脱し次に又かけたる語ありてこしきと解たるなりけむをはじめに寫す時ふと行をばあやまりて次の辭を書きて問の脱したるにやあらむさる事寫本にはよくあることなり別に古寫本を得て訂正せば知らるべし
右の意にて脱たりとかりに見てさて此辭をいかに解ならむと考へ見るに后の綺羅かさねは世に十二の御衣などいふにより八十一にくはへて九十三着といふ事にて和田義盛の一門九十三騎の事と解にやともおもへど和田の事なくてたゞちに九十三騎とのみいふべくもなしさらば又きらかさねとあるかさねの語によりて十二を倍して廿四を八十一にくはへ見れば百五となる貢詞の物を百五物といへは是と解くにやと思へど物といふ事のよしなしさて脱文ならむとは思へどもし此まゝにてしひて試に解かば八十一女御といふ事あればそれを后ともいひなして伊勢の御攝津の
僧の寮は
夏の虫は燈をとりによる意にて解きたり但此解きたるひとりは獨の事かまたは火取の事か火取は火を取扱ひ運びなどする器なり是ならは意に轉用なくて興うすくおぼゆ
ぬれぶみは艶書をいふ濡れたれば
此解きたる語もしはかたびら雪とありけむを雪といふ字を寫脱せるにや帷子とのみにては冬ふりにけりといふ事おだやかならず夏衣の名にて冬降る物をかけたる意なればなりかたびら雪とはうすくふれるをたとへいふなりさてかたびらは合せ糸ならず片糸にてよりをも多くかけず平糸にて織るより片平の意なり今も
かねのはしらは針をたとへいふにて綱つけては針に糸をつけたるたとへなり柱に
子の字の
たづも
狐の火は尾にともすよしにて尾火の意なり尾に火の掛る意なるべけれどかけの意さだかならずかけ辭のいひさまのわろきなり掛帶は別に上にかくる物なり
にがむとは顏をしわめてくるしむさまなり源氏物語にあつきにとにがみ給ふとありさてかくきこゆるやうにいひて意はいろはにほへとのにの上ははにてかへむてはゞなりゆがみも曲みたりときかせてあさきゆめみしのゆの上はきなりかへしてきゞなり合せてはゝきゞと解きたり是らいとおもしろし
一本におきの釣船浦によせくるとあり此かたしらべよしおきの釣船は
徐歩するをねるといふは練供養練物などの如しぬきはその事をつくすをいふなり俗言に爲遂るをしぬくといひ見極るを見ぬくといふが如し練貫は絹類にいふ名也
一本茶はなくとあれど誤なるべし茶無くば挽事なかれといひて臼惜しき意にて薄折敷と解たるなり
文字をよみかくは一字千金の賜物にて教へたる師の恩なりとの意にて解きたり例の恩はおん菀はをんにてかなはたがへり
かけ辭は道を行なから一拳あつる意にて行うちを雪打にかよはし解きたり雪打は戯に童などのする事なり
ちごの上無きはごとなるほうしには尾を取用ふる意にてしなりさていを中に置けばごいしとなるなり石はいし田舍はゐなかにて假字たがへど例の後世の通音なり
たまづさの前後をはぶき中を言葉とすればまつなり
戀の字心も言も無ければのこりて絲の字となるなり
あらしといふ語の後はしの字なりもみぢのみちを埋みかくせばもの字殘る合せてしもと解きたるなり是もかけ詞いとよし
東は卯の方なり面ほ頬なりすなはちうずらと解きたり
にしは日の入とまる方の意にてひとまると解きたり人の名にはまろなれども後世は通はしてもいひ丸ともかけばなり
女の世すて人は尼にていまだ世にあるほどは女房なれば尼の以前の意にて解たるなり尼がさきは攝津の地名なり
此ふみは文の事にあらず
きりをかさぬればきり〳〵なりなますのなまを取ればすとなる合せてきり〴〵すと解きたるなり
人にしらすなの意にてかくせと命じたる語なり一本解たる語しらずとあるは誤りてなの字を脱したるなり無くてはきこえず
鳥の巣はかくることをくふといへばくへは子をうみて數多くなりくはざれば子うまぬ故にすくなきものは鳥の巣なりといふ是も古きなぞの一體なれどもきこえにくし
座をたつは
此何曾は作者の思ひたがへるにて二四八といふべきなり二四はやつなり八は其まゝにてやつばちと解るゝなり四四十六にては四と四とはやつなり十六を撥にあつれば八ッあまりてせんかたなしやつとはちと合せて十六とすれば四々は不用の語なり思ふに解きたる語獅子八撥とあるべきを
佐理を去の意にて道風の後の字を去ればたうとなる手跡の上の字も無ければせきとなる合せてたうせきと解きたるなり跖は柳下惠の弟にて兄とはいたく心違ひて盜を專とせし故に綽號して盜跖といふとぞ
さい行のさをとりて後又上のいの字をも剃りはつればきやうとなるなりきやうの清濁にはすべてかゝはらず解く例なり
紅の字の篇の糸腐り變じて虫となれば虹の字となるなり
よむとものよし無ければともとなるちゝの首をとればちとなる弓とりの弓を捨ればとりとなるを合せて見ればともちどりと解けるなり義朝父爲義を討たる事平家物語などに見ゆ此なぞの歌よく首尾とゝのひ解さまもいとおもしろし
ひきの中へちりを入れはひちりきとなるなり但ての字あまりてせんかたなけれど建具の引手と聞ゆるやうにいはむとてやむことを得ずかくいへるなるべし
一の名を擧るとは第一の聲をあげ用ふる意にていちの谷のいの字九郎判官のくの字熊谷のくの字にてひとつゞきの語はみな捨て用なしさて上の三字是らをみなうちかヘしてよみてくゝいと解たるなり但鵠はくゝひなれども後世下につくひは皆いと口にいふまゝにかよはしてかなたがひにかゝはらず
四季のはじめは春にて花に逢ふ時なり月のをはりとは四季とも三ケ月のをはりの月の意にて季の意なり季は末にて三月九月を季春季秋といふ是なり合せて花逢季となれば花扇の事と解たるなり花扇の事は前に記せり
此なぞ解きにくきをおしはかるに寐覺にいまだ酒機嫌にも無き折から人の盃をさしたるはよしなく不興なる義理だて故に盃は來つゝもわざとさめやらぬ顏にて猶寐たる意にて來つ寐の意にて解たるなるべしとゝけの言ひざま今つけとゞけなどいふ意にて心づけあいさうのさまなり
紫の字上隱るれば糸となる源氏の二字あとの氏の字のみをとゞめて合せ見れば紙の字となるなり源氏物語の卷に紫上うせ給ひ源氏はあとに殘り給ふ意にてさばかりむつまじかりしを共にうせもはて給はぬはととがめたる辭にてよくかなひておもしろし
逆につきをよめばきつなりねがはくの語かはく無ければねとなる合せてきつねと解たるなり乾はかわくにてねがはくとはかなたかへども口稱によりて通はしいへり
一本にねふりとのみあれどさては二時といふにかなはずゐの字の脱たるなりさらずば一時とあるべし居眠を亥子ふりの意に見て亥子の二時過去れはふりとなるをあめの中へ入るればあふりめと解るゝなりさて此あふりめといふ物は何ならむ今針金の編たるをあぶり
さびをかへりてよめばひさなりけんの尖はけ字のなりつへらねてひさげとなる此なぞ語よくつゞきておもしろし
ゆふがほの上失ればかほとなるうこんをこんといはればうとなることわりは理の字なりつらねてかほうりと解たるなり源氏物語夕顏卷に夕顏の上身うせて後そのつく人の右近を源氏の君まねき給へどもとくもまゐらむといはざりし事見えてその意よくきこえてかけ詞おもしろしさて此かは瓜といふはいづれをさしていひけむ或人は今いふかぼちやなるべしもと柬埔塞より産したる瓜の一種にてかぼちや瓜といひしをはぶきてかくいひしならむといへどいかゞあらむ
源氏物語第一桐壺の卷の文はいづれの御時にかとあり狹衣物語の第一の文は
あかしのうへは明石の入道のむすめ桐つぼの更衣は光源氏の母君にてともに源氏物語に見えたる美婦にてくらべたるさまにいひなしたるなり源氏物語卷の順次明石の卷のうへは須磨なりおとりは尾を取用ふる意にて桐壺の更衣の尾はいの字なり合せてすまいと解たりさてこのすまいとは
むさし野のはての野字なければむさしなりさて此解たるは武藏の國名かさてはむさし野も同國にて同義なればなぞの詮うすし世にいふ童のもて遊ぶ十六むさしといふ物の意なるべし五雜俎に馬城と出たる物にて日本紀などに城の字をさしとよめればもとうまさしなるをうは例にて省きてもいひまとむと通ひてむさといふならむと祖父の説ありて玉かつまに出たりうまのうをはぶく例は秣は馬艸の意也
嵐の字山を飛ばせ虫をはたせば
くるまの上はくの字なりこしの尾を取て上に添ふれはくしとなるなり此何曾こしの尾をとり除る意に見ればことなる上のくの字を合せて
たにはたの字二つの意にてたゝなり寅は十二支の卯の上にあればつらねてたゝうがみと解きたり
かにの間へたかとはさみて見ればかたかにとなるなりさて此かたかにとはいかなる物ならむ干潟などに居る蟹をいふかさてはかけたる辭に蟹といひあらはしたれば詮少し萬葉集にかたかこの花といふ名見ゆ是はかたき百合といひて百合の一種なりと説あり此ゆりねを干して粉にしたるが世にいふかたくりにて則かたこゆりのつゝまれる名なりもしは此艸の名どにや
丸き物はすべて角なくすみ〴〵をとり除きたる意にてすみどりと解きたり
光る君は光源氏なり此君のうつろひ給ひしは須磨なりうせにし君は源氏の北の方葵のうへにてあふひの末はひの字なりつらねてすまひと解けり前にいふごとく此すまひも相撲か住樓か知りがたけれど是はいづれにてもかなづかひ正しくかなひてよし
僧の寺を出るは
たにはた二ツの意にてたゞなりつらゝなかばとけたるはつら消て下のらの字殘るを合せてたゝらとなるなり
かすがのやしろは奈良の神の意にて解たり今の京の紙屋川にて宣命紙などを漉く如く奈良の京の比の紙戸傳はり殘りて後までも漉たるを奈良紙とてもてはやしたるなり
燈のきえんとするは油の盡たる意にて解たりあふら
水鳥は鴨の意なりめされよは物賣の語にてうりの意合せてかもうりと解たるなり水鳥やのやはうたがひの辭にあらずよにかよふやにて物賣の今もいふ辭なり
林の字片枝かるゝ半をのぞく替辭にて木となるに土をあらはせは杜の字となる若みどりのみとり無ければ若となるあはせて杜若と解たるなり類聚本に土のあかはりとあるは寫誤なりさては土をそふる意に疎し
さけをかへしてけさとなるさかなは逆名の意にてさけを
あはせのせ綻ひ去ればあはとなる半臂の半を破り去ればひとなるつらねてあはびと解たるなり類聚本袷はふくろひとありて脊の字脱たりなくてはきこえず半臂は武官などの上に着る物なり
うぢはしの上はうの字なり伊豆の
はたちは艹冠なり小なるは小ざとへむを此ごろ俗言に訛りて小さかへんといひしこと武者物語に見えたればその事なり立ながら生るゝは二字合して産かくの如くかくをいふにて合せて薩の字となるなりさて是はたゞ字畫の何曾なり菩薩布薩などつゞきては物名となれども一字にて薩といふものは無し
山からの山をはなてばからとなるやつしては
もろこしは唐なり年をへては久しの意なり歸るを待つは來る間の意にてつらねてからひさしのくるまと解たるなり唐庇は乘車の一種の造り
明六ツは卯時なり過れば辰の時のはじめなる意にてたつがしらと解きたるなり某時のはじめをかしらといふ事は古く例あり
帳臺はもと二疊臺をすゑ四方に帳をたれたる御寢所にて夜の御殿にある名なり臥間の意にて衾と解きたり衾の事前にいへり
栗まはすはくりの間はすの字入る意にてくすりとなるなり猿は去る意にて取除きてあるもなきも同じくたゞ粟まはす形容にくはへたるなりされど山猿とか飼猿とか上になほ語ありたしさすればその語の去ることはなくてよきを
柳はやなき意にてやどのや無ければとの字のみ殘る花のころといふ語花の無ければころとなるを合せてところと解きたるなりなどは何故柳に花なきぞと上よりの語のつづきに置たるにてなぞにはかゝはらずかけたる詞づき意よくきこえておもしろし
林と下を合すれば
としの二字たちかへればしとゝなるとしの二字のはじめは又となり合せてしとゝと解たり因にいふ金具の鵐目は此鳥の目に似たるかたちよりの名なり又俗にあをじといふ小鳥は青鵐の略語にて羽青し
髮そきは上
古疊は藺の朽たる意にてゐぐちと解たるなり缺唇は和名抄に阿比久知とあるが轉じていぐちとなりたれども猶藺とはかなたがへれども例の後世の口稱によりて通はしたるなり
永正は後柏原院天皇の年號にて十三年は丙子の歳なり足利義植大將軍の政申給ふ世にて後奈良天皇未だ即位ましまさず春宮にて座しましゝ御時の御撰なり此天皇は後柏原院第一皇子にて御諱知仁と申す御母は豐樂門院なり
後奈良院御撰何曾一卷以一本校合畢
嘉永二年正月十一日 君上白去年十二月御所管中爲御慰加注解可差出旨承 命白即日起稿割半爲中卷淨書而同十七日献之爾来卒番以下又淨書爲下卷竟酉二月朔日再献之右畢數日之間 元來承 命所之謠曲一番述作之以正月廿八日献之稽有別卷以此餘暇急卒之解也追而可遂再考於上卷者以諸書散在之何曾雜考他日欲輯録矣
本居 内遠